※以下、敬称略
三十年以上前、金の星社という会社(※現在も経営している)で読んだあるSF小説に、学生が作った未熟なロボットがなにかの弾みで人間の精神を備えるくだりが出てきた。作品の題名も作者も失念したが、基本的には善良で信頼できるロボットだった。
それから二十年ほどして、故 手塚治虫の『鉄腕アトム』の1エピソードをリメイクした『プルートゥ』という漫画を浦沢直樹が小学館から発表した。ロボットに人格と人権が存在する社会で、ロボットが人間そのものになるとどうなるのかという話だった。
本作はそうした系譜に連なる形になる。
古典的な『ツンデレ』には微苦笑したが、実際にはそれが結末に重大な影響を与えている。現在考えられる最新のロボット考、その可能性がああなるとは世相も反映してのことだろうか。
題名といい、実に意味深長なお話だった。