第2話 終わり。

ありもしない、盛っている記事を書いているうちにSNSで「この記事を書いた人を探そう」と話題になっていた。


インターネット、SNSでその話題は瞬く間に広まって行った。そして蓮也の名前、住所、電話番号、家族構成、家族の名前、全てSNSに晒された。いわゆる、アンチというものが蓮也にはかなり出来ていた。


そして、ライバル週刊誌に蓮也の話題を記事にされる。ありもしない話を書かれ、その週刊誌は瞬く間に売れて行った。そしてアンチは増え続けた。


テレビにも取り上げられるようになり、顔写真、学歴などが報道される。蓮也は内心、かなり焦っていた。






社長に呼ばれ、蓮也は社長と話す。


「なんで呼ばれたか、わかるな?」


「えぇ…。大体は…」


社長はライバル週刊誌の記事を机に乱雑に置く。


「これは本当か?これ以上何かしたら、お前はここに居させることは出来ない。気をつけてくれよ」


「はい。申し訳ございません。気をつけます」


軽い注意で終わり部屋を後にする蓮也。



その日は、早めに仕事を切り上げ自宅へと帰ることにした。


蓮也は帰り支度をしながらSNSで自分を批判する内容を真顔で見ていた。


「どうせ…すぐ飽きるさ。すぐに話題は無くなるはず…」


しかし、数ヶ月経っても話題はなかなか収まらない。SNSでは未だに話題に上がり会社にも脅迫文や脅迫電話が届いている。その件があってから蓮也は記事を書いていない。しかし会社には出勤はしていた。



蓮也は自分の批判する内容などを見すぎて、人がコソコソ話しているのを見ると自分の批判や悪口を言われているのではないか、などと思ってしまっていた。




ある日の帰り道、蓮也は電車に乗り帰宅途中の事だった。21時過ぎという事もあり人は混雑時よりかは混んではいなかった。そこに、会社員のような人達2人がコソコソと話している。2人の話している内容はその人たちの会社の事だったが、自分の批判に聞こえた。


『おい、あれRAZZIの記者じゃね?』


『あー、あの嘘の記事書きまくってたクソ野郎?』


『なんで生きてるんだよ。死ねよ』


その人たちではない声も聞こえてきた。幻聴が蓮也を襲う。


「やめてくれ…お願いだ…」


次第に、その幻聴は収まり普通に戻った。そして自宅の最寄り駅に着き電車を下り自宅へと向かって行った。



自宅の扉を開け、中に入る。


「ただいまー」


リビングへと向かうと妻がいた。


「あなた…ちょっとお話しがあるの」


「ど、どうした…?」


蓮也は椅子に座り、しばらく無音の空間が広がる。


「あなた…もう……私限界。あなたのニュースとか見てて心が痛くなってきたの…」


「……そうだよな。ごめんな」


「もう……終わりにしましょう?」


「な、何を」


「……生きることを」


「……」


「そっか。俺もそれは考えてたよ。お前がそうしたいなら…いいけど」


「もう練炭は用意してあるから…。あなたは…自分の方法で…ね」


「あ、あぁ…」


もうお互い覚悟は決めていた。



その日の夜、妻は部屋に目張りをし、練炭を焚いた。


蓮也は、別の部屋にいた。



机に乗り紐に首を通す。



そして、机から降りた。紐が喉に食い込む。


そして、蓮也は次第に意識を無くしていった。







さようなら、記者人生。

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黒い記事 大津 千代 @otttyo_00

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