少しだけ不器用で、でも純粋で、どこか懐かしささえ感じる高校生二人の、胸を打つやり取りがとても綺麗です。
今日は高校の卒業式。ずっと本当の気持ちを隠したまま、仲の良い友だちポジションをキープしてきた私と彼。
好きなんて言えないから、せめて彼の第二ボタンが欲しい。
勇気を出してお願いしに行った私に待ち受けていたのは、予想もしない結果でした。
柔らかく優しい文章に、肌寒さの残る春の始め、桜の香り、卒業を迎えたそれぞれの想いがありありと感じられて、なぜだか涙が溢れそうになる。
言えないけれど、伝わって欲しい。気付いて欲しい。そんな主人公の切なる願いも痛いくらいに胸を打ち、ただただ応援したくなりました。
短い中で二転、三転する物語。そのどれもがぎゅっと響いて、最後はやっぱり……泣いてしまう。
一つの関係が終わりを告げ、そして新たに始まって行く、この時期らしい作品です。
是非一度、読んでみて下さい。