2章

第2番目


「『なんてこった、既にネタ切れで話が続けられないではないか……と私は呟いた』って感じで今回は第2回カクヨムコンの“2番目”って題材の話を始めようと思うんですよ」


「おまえ少し前のフクロウの時もそんなメタい話やってなかったか? そんなのしか書けねえの?」


「『今しゃべってる相手は私の物書きとしての先輩、つまりこの話の登場人物も2人、というわけだ。この辺りはぬかりなくバッチリである』」


「やめろそれ! おれ巻き込むの前提で話進めるのやめろ! 夜中にいきなり電話してきたと思ったら何始めてるんだこいつ!」


「大丈夫ですよ先輩、今もう1話目を上げたところなんで」


「いやLINEで言われて見たけど、なにこのカスみたいな話」


「カスって!!」


「どうせあれだろ、“新しい小説を作成”のところから全部タグとかエピソードとか2番目のを選びましたー、とかいう苦し紛れの小細工だろ?」


「不当な言いがかりはやめてくださいよ傷ついたのでこの会話は通話録音しますよ」


「すんなよ! まさかこのダベり全部文字にする気か!?」


「大丈夫ですって! これはいわゆるプランB、つまり次善の策、本来のネタが今日の2時22分までにまとまればボツになるやつですから!」


「それ流れ的に本採用されるだろ絶対! 殴るぞおまえ!」


「セルフレイティングのタブで2番目の“暴力描写あり”をポチッとした甲斐が……ありましたね?」


「あっこいつ絶対電話の向こうでドヤ顔してるわ」


「いえーいピースピース! しかもスマホ耳に当てて空いた両手でダブルピース!」


「こんな鼻クソみたいな会話がネットに拡散されるとか、マジでダメだろ……」


「ま、そんな読む人もいませんし問題ありませんて! ……いやほんとに」


「いきなりテンション下げんのやめない?」


「こんな話だしPVも2人くらい! なんてどうです!? それはそれでオイシイ感じなのでは!?」


「いきなりテンション上げんのもやめない?」


「じゃあ暴力描写のタグはノルマクリアしたんで、そろそろ次行ってもいいですか?」


「えっこのまま続けるのマジで?」


「時間も押してるんでね、次行きますね」


「おまえそういうトコだぞ」


「で、これジャンルが“現代ファンタジー”なんですよ。ジャンルの1番が異世界ファンタジーで、2番目が現代」


「どこがファンタジーなんだよ」


「ですよね」


「…………」


「…………」


「話終わったし切っていい?」


「いやダメですよ何言ってんですかダメですよ」


「もう通話時間30分くらいになってるんだよなぁ…!」


「通話料金がファンタジーなことに!!」


「むしろリアルなんだよなぁ」


「えっ先輩そんなに上手いこと言えたの!? マ!?」


「おまえ覚えてろよ、今度こっちもなんかしらメタいの書いておまえ登場させてやるからな」


「……………」


「……ん、おーい?」


「なんかお互いに小説で互いを出すって……すごく気持ち悪いですね……」


「なんでおれ、夜中に電話かけられて長電話されて挙げ句ドン引きされてるんだろうな」


「あっまさか!? タグの“ボーイズラブ”!? あれ付けたからこんな話題の展開に!?」


「違うだろ! というかなんでおまえそんなワケ分かんねえタグ付けたんだっ……いや分かるわ! どうせ2番目がどうとか言う気だろ!」


「カクヨムの“小説執筆”のオプション設定、タグ付けるの悩んでる方向けにだと思うんですけど、“タグ例”ってのが並んでるんですよね」


「たぶんそんな理由でBLタグ付けるのおまえだけだと思うわ」


「だから私は決してホモォ...ではなくてですね。私は」


「うんなんで自分だけは違うって感じで強調してんだ? やめろ?」


「プランB(L)」


「やめろや!!」


「まあこんな話になると思ってたので、“コンテスト”欄で今2番目にある“ファミ通文庫大賞”にはさすがに入れられませんでした」


「こんなんぶち込まれたらファミ通も困るわ」


「あと“自主企画”欄のところもさすがに良心が痛んで」


「もうだいぶガバガバだろこれ、2番目縛りとか言ってたのにゆるゆるじゃねえの」


「ガバガバとかゆるゆるとか縛るとか、まーたBL展開に持ってこうとする!」


「電話切っていいか?」


「あとちょっとだけ少しだけお待ちを! 待ってください、頼みますから!」


「必死すぎるだろ……」


「今のところまでを字数にするとどれくらいになるか分からないので、とりあえず2222文字に届くくらいにはなんかネタ出ししてくださいよ!」


「尺稼ぎかよ! 必死すぎるだろ! もう2番とかじゃなくて単に2って言いたいだけじゃねえか!」


「賞金とか出たら喜んで奢らせてもらいますよ! ほら、なんか2番目に関するなにかとか奢りますよ」


「2万円よこせや」


「めちゃくちゃごっそり賞金持ってかれる!! 確か賞金3万? とか1万? だったのに!!」


「というかもう1時22分だけど大丈夫か? 間に合わなくね?」


「いわゆる“間に合わない”、プランMってやつですね」


「あっこいつ焦ってつまらないこと言い始めたぞ」


「オチがなくて終われないんですよ!!」


「怒鳴んなよ! 知らねえよ!」






 ――そこで通話は切られてしまった。

 

 その後私が文章に起こしてみて、2222にも届かず、よく考えたらやっぱりこれは“2番目”でもなんでもないんじゃないか、と思ったのも後の祭りである。


 深夜の与太話に付き合ってくれた先輩にはこの場を借り感謝の言葉を述べつつ、これを読んでくれた皆には他の作者がたの素敵な“2番目”の作品を読んでいただきたいと思う次第である。







(ここ含めて2222字

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プランB、いわゆる2番目ですね 南乃 展示 @minamino_display

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