出席番号

囲会多マッキー

第1話 何故、一番⋯⋯

 私の苗字は私のペンネームと同じです。これを言ってもバレることはなかなかありません。何故なら、この世の中に「いけだ」と呼ばれる人間は沢山⋯⋯約四十五万人いるからです。


「『い』から始まるのに⋯⋯どうして!?」


 実はこれ、小学生の頃から悩んでいました。『あ』から始まる人が居るのに何故か私が一番だったのです。


 何故、悩んでいたのか。それは想像すればすぐ分かるはずです。もちろん、そんなことは分かるはずがないのでよく聞かれます。


「なんで? そんなに嫌なの?」


「当たり前じゃん! 出席番号一番だと、音楽のテストとかが一番最初なんだよぉ?!」


 テスト前にはいつものように、この会話がありました。早く二番になりたい⋯⋯。二番が羨ましい⋯⋯。


 結局、中学卒業まで一番のままでした。しかも、中学では一組だった上に、出席番号一番だったので、卒業証書を一番最初に貰うと思っていました。つまり、校長先生に証書を読まれるのです。


 私は「代表」みたいにはなりたくなく、「代表を支える」ような存在になりたかったのです。だから、私は中学三年間会計などの学級委員として活動していました。


 だからかも知れません。担任とウマが合い、お互いに信用していました。その先生は数学の先生だったのですが、私も数学が得意だったので、難しい問題を一緒に考えたりしていました。


 ⋯⋯たまに先生が分からなかった問題を解いてしまったりしていました(笑)


 そして、今は総合ABCという学力テストがあります。これは「この3つのテストの平均点数が受験の当日点に取れる点数と同じくらい」になるというもので、合格できるかの目安として使うテストです。


 3回目のテストである総合Cで、私は何故か2位を取りました。そのまま現在の高校にも合格出来て、暇な時間を過ごしつつありました。


 その後の進学に、ほとんど影響のない学年末テストは全く勉強せずに終わり、卒業式の練習の時になりました。


 去年の卒業式は出席番号順に証書をもらっていました。「最後の最後まで一番かよ⋯⋯」と思っていました。しかし、出席番号順に貰う訳ではなく先生が自由に決められたらしく、私は初めて一番ではなくなりました。ようやく二番になり、喜んでいたのですが後々の練習で私はとんでもないことに気づきました。


 ──────私は前の人が読まれている間、ずっと保護者の方を見ていないといけないのです。


 卒業証書授与式は、一番より二番の方が辛いということがこの時にわかりました。なんとかやりきり、いよいよ高校に進学することになりました。高校の出席番号は四番でした。一でも二でもなく、ホッとしました。


 ですが、この四番。四は死を想像させるという理由で病院などでは使われないそうです。私の携帯の番号にも四が四つあり、不吉な番号に囲まれてます。そのせいか、怪我の多い高校一年でした。


 結局、一番良い出席番号は、三番なのではないでしょうか⋯⋯。一番目や二番目はいろんな意味で危険です。しかし、二桁になると書くのが面倒臭いでしょう? だから、一、二、四、九を除いた1桁の出席番号がオススメです。


 ⋯⋯まぁ、自分で決めるのは無理ですけど。

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出席番号 囲会多マッキー @makky20030217

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