ごめんね


目を覚ます。私はベンチに横たわっていた。

気づけば朝になっている。私はゆっくり起き上がる。


『起きたか。』


聞き覚えのある太くて怖い声が聞こえた。


「っ……!」


一気に目が冴えた。今日は日曜日だ。


「彼は…?」


聞いてもその声はもういなかった。


サラ……と自分の髪が朝日に溶けた。

その髪の色は懐かしいあの色に戻っていた。


ふっと口角を上げてしまう。それと一緒に目から涙が零れてキラキラ光った。

これ以上零れないよう、手の甲でぎゅっと瞼を押し付けた。


カサ……。

私は何かを握っていた。

見るとそれはアネモネという花だった。

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ひとつの空想物語 春野 秋 @akiharuno

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