カクヨム短編賞の中間選考が出たので、読んで面白かった作品を勝手に応援する。
祭谷 一斗
4+3(+1)=?
読んで字のごとく、な個人的紹介企画です。応募作中、「これは読んでみて欲しいな」と思った作品を紹介します。もっと増えろ、読者。
※文中のタイトル・★数・字数は3月10日22時半現在のものです。記事公開後に変動する可能性があります。また、掲載順とお薦め順は必ずしも一致していません(基本的にサイコロを振って決めました)。
夢月七海
弁当屋の前には森がある
★:23 字数:3080
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888375021
童話風の一作。森の近くのお弁当屋さんに、週一で来るあの子は。やわらかで優しい雰囲気が持ち味。
「今日は水曜日でしょ? そろそろあの子が来るんじゃないかしら」
「あの子?」
言葉の海
★:10 字数:2357
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882119652
こちらは少しファンタジー。不思議な海と思い出が交錯する、やはり優しい読み味の一作。
そこを満たしているのは塩水ではなく、この近くで発せられた言葉だった。
海のような青い色をした文字が、浮いたり沈んだりして、波のように砂浜に打ち寄せる。
ピクルズジンジャー
村焼き姫と魔女の焼き菓子
★:59 字数:9988
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887629603
妖精に王に、主役は姫。そんな童話風の語りから、恐ろしく複雑な味わいにたどり着く。この人にしか書けない、と思わされる一作。
「慕われ愛されるお姫様になりたいなら村以外のものを焼いてはどうだい」
「村以外のもの?」
神話になり損なったありふれた暴力に纏わる物語
★:35 字数:9928
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887769568
神話をモチーフに、性と暴力と不意の生死を凝縮した1万字。何より主役たちの「生き汚い」その様相が、読後もなお印象に残る。
「私は殺されたいのだ。食われたいわけではない。食われるのは痛そうだから御免こうむる」
アルキメイトツカサ
大天使サリエルちゃんは怠けたい
★:90 字数:9999
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887966009
天使とナマハゲのコンビネーションから始まり、
「突然のなまはげ、どうか許してください。これが私たちのビジネスマナーなので」
サメ映画ルーキー
鮫枕
★:78 字数:9999
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888101276
謎すぎるPNにやや怯むも、読んでみるとこれがシュールかつお約束を踏まえたサメ(の、ぬいぐるみ)小説。サメ映画のもたらしたサメノベーションに刮目せよ。
「しかし、どのチャンネルでもサメが喋り、サメが歌い、踊り、野球をし、サッカーをし、果てはソファに掛けてトーク番組に出演していた。私は…私はどうしてしまったんだ?」
プラスα
個人的に通過するかなと思ってた短編3作です。
何はともあれ、ひとまず読んでみて下さい。
最上碧宏
周防先輩は僕のことを財布としか思ってない
★:3 字数:2421
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888354813
「あのですね。周防先輩は僕のことを財布としか思ってないでしょう?」
「その根拠は?」
「浪花屋のたいやき、千疋屋のパフェ、トミィのホットケーキ、なりたけの大盛りラーメン、プティ・ヴェールのハンバーグ」
先輩は白い歯を見せて、にっこり笑う。
まくさくま
魔女の旅
★:4 字数:6031
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888332262
「信じるかどうかは貴方次第。だけど、事実私はこんな剣じゃ死なないわ。たとえ心臓を貫かれようとも、首から上を吹き飛ばされても、肉体が木端微塵になってもね」
淡々と話す彼女は剣を持ったまま、隊長へと近づいていく。
「でもね」
芹澤つかさ
グラン、婚約破棄して下さいますでしょう?
★:21 字数:6328
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888284404
「良いですか? 私達はかれこれ生まれてからずっと、それこそ貴方が2歳、私が0歳からずーっと一緒におりますでしょう? 」
「うん、そうだねぇ? 」
「そして既に16年を迎えています。謂わば家族同然の付き合いと言えますわね? 」
「うーん……そこは私はちょっと違うんだけれど……。まあ、良いよ続けて?」
付記:
おまけと言うか自作の宣伝。
標高8000mのセイレーン
★:15 字数:
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888338162
5日間でギリギリ滑り込んだ結果、天才女性登山家キャラクターの言動&行動に作品を滅茶苦茶にされました……。通過できてまずは何よりです。
「その夜、目を覚ましたのは3度目だった。
体調不良のせいでも悪夢のせいでもない。
呼吸困難による覚醒は、ただただ高地での日常に属する」
カクヨム短編賞の中間選考が出たので、読んで面白かった作品を勝手に応援する。 祭谷 一斗 @maturiyaitto
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