第4話

「だって修、おせち嫌いって言ってたじゃん」


「――ああ、まぁな。でもお前徹夜で作ったんだろ? お前がそこまでして作った料理なら、最後まで食べるよ」


 黒豆も美味くはないけどまだ食える、と言えば、浩行は「えへへー」と照れたように笑った。


 しばらくニマニマと気色悪く隣で笑っていた浩行が、「なんかさー」と肘で小突いてくる。


「なんかぁー、さっきの言葉、プロポーズみたいじゃなかった?」


「………………」


 しばらく考えて、「なかった」と答えておく。


 俺の心を見透かそうとするように顔を覗き込んでくる浩行からは、フイと顔を逸らせといた。


「えー、では矢野さん。プロポーズの言葉は、何でしたか?」


 マイクを持つように握った手を、俺の口元へと持ってくる。


 少しの間を置いて。


 肩を竦めた。


「『黒豆も美味くはないけどまだ食える』でした」


「えーッ、そっちぃ?」


 突っ込んできた浩行と共に笑う。




 ――プロポーズだっつってんのに。


 ニブい奴だな、お前は。

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キミと紡ぐ【BL編】 Motoki @Motoki_Rhapsodos

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