一羽の鳥から視た、もう一人の孫子の逆転劇

孫子、という呼称は中国史において二人の人物に用いられる。
一人は孫武。言わずもがな『孫子兵法』を著した軍略家である。
そしてもう一人がその子孫の孫臏という男だ。

本名は分からない。臏というのは足を切断されるという刑罰を意味し、事実この男は冤罪により両脚を奪われていた。
このことから判る通り、数奇な人生を送ったこの軍師は、父祖以上のドラマや伝説を打ち立て燦然と戦国に輝く将星に昇った。

これは、彼の最大の決戦、馬陵の戦いの述懐する物語。
語り部は彼自身ではなく、物言わぬ小さな助言者。
類を見ないほどユニークな視点から綴られる、自身の仇敵の決着の裏で起こった秘話である。

このレビューの作品

大軍師の梟

その他のおすすめレビュー

瀬戸内弁慶さんの他のおすすめレビュー170