桃太郎とバトル?
なっそ
フクロウもいるよ
俺は赤鬼。
昼寝の後木の上でのんびりしてたら、青鬼が「桃太郎が仲間連れて攻めてくる」って言ってた。
だから自分たちも仲間集めなくちゃなーって、青鬼はどこかへ行った。
探すの面倒臭いから、目の前で寝ている鳥を捕まえとけばいいか。
太陽がオレンジになった頃、桃太郎が俺たちの島に着いた。
俺は気づかれないように木の陰で見ている。
なるほど、「桃太郎」と「打倒鬼」って書いてある大きな旗を船につけている。
うちの青鬼は目がいいから分かったんだな。
相手は桃太郎と三匹のお供。
青鬼も一匹連れてきたら四対四でフェアになるんだけど、あいつは一体何を連れてくるんだろう。
「おい赤鬼」
振り向いたら青鬼と、大きな竜がいてびっくりした。
「竜じゃん。すご」
「相手は人間と猿と犬と、細い鳥だし。
賢くて爪があって飛べて、しかもがっしりしてる竜なら相手と互角以上の戦いができる」
青鬼はよく考えてる。
俺の連れてきた仲間を紹介する前に、桃太郎たちに気づかれてしまった。しまった、
竜が大きすぎた。しかもまだ作戦会議をしていないのに。
とりあえず桃太郎の前に並んだ。
ところでどうやって戦いを始めよう。
右手で掴んでるこの鳥は、まだ起きていないのに。
「ラップバトルをしましょう」
桃太郎は言った。
縛りは「仲間の名前で韻を踏む」ことだ。
俺は拳で闘わなくて安心した。でも、ラップは得意ではない。
「面白いじゃん」
青鬼の眼はギラついている。
「じゃあ私、桃太郎から」
桃から生まれた私桃太郎
きびだんごで仲間集めたろ
心射抜くアロー to 猿キジワンワン
行き先は鬼ヶ島湾さ
故郷で待つのは爺さん婆さん
鬼たち喚けよホラわんわん
なんか微妙なのが来てしまった。
これなら勝てると青鬼を見たら、青鬼は動揺していた。
「竜、ドラゴン、どっちも韻が踏みづらい」
青鬼はしばらく考えることにした。
「……できた!」
Welcome to 俺の島
俺をビビらせるガキはお前だ
俺はブルー
でも仲間は竜
形勢逆転 You will lose
子供は帰って歯磨いて寝な
これも微妙だ。俺もう帰って寝たいな。
「次は私の仲間のターンです」
「ウキー」
「トリッ」
「ワオン」
ウワ キリン ウキウキ
トリオ ウキウキ
ワリオ ウキワ キツ
彼らは喋れなかった。桃太郎が二回やればよかったのに。
「さあ、赤鬼さんの番です」
「頑張れ赤鬼」
もう眠いよ。空はオレンジと紫のグラデーションになってた。
突然バタバタと、奴の足が動いた。右手ちょっと痛かったんだけど。
どうやら昼からずっと掴んでたフクロウの目が覚めたみたいだ。
「赤鬼、その丸っこいのフクロウだったのか」
「フクロウのは夜行性ですからね、今目覚めたんでしょうか」
フクロウが活発になったからって、俺にラップができるわけないけど。
フクロウ……お袋。フクロウ、苦労、不毛、うーん。
「オオーウ」
フクロウの雄叫び……!そうだ閃いたぞ!
よお桃太郎
オール漕いで大変だったろ
だけど all night
休む暇はない 朝までバトル
俺は目覚めた a whole new world
見せてくれたぜ
俺の最高の仲間 owl
変だったかな……。
「赤鬼すごいじゃん」
「私の負けですね」
フクロウは英語で owl だから……と桃太郎はブツブツ言っていた。
そして桃太郎たちは朝までラップを教えあった後帰っていった。
桃太郎とバトル? なっそ @8himana
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