おフクロウと俺…

阿倒 道一

第1話 俺の母は…

はじめに言っておく、俺の母親は

フクロウだ!嘘だと思うかもしれないが真実なのだ。


ある日、家に届いた『頭が賢くなる箱』

と書かれた箱を開いてしまったばかりに母親は白い煙に包まれて、出てきた時には

母はフクロウの姿だったのだ。


俺は直ぐに警察に電話しようとしたが、

フクロウになった母さんは俺の頭をつつき止めてリビングに置いてある俺のパソコンの

キーボードをくちばしを使い『私は大丈夫よ、

明日、試験なんでしょ?勉強をしなさい!』

と打ち込んできた。


「ホーホー」

「母さんは何て言っているんだ?」

「えっと『醤油は台所の上よ』だって」

それから、家事を母に任せっきりにしていた俺達はご飯をコンビニで買い洗濯物も自分で洗って干した。母の偉大さがよくわかった。


そんな日々が一週間を過ぎた頃

フクロウである母親は突然倒れてしまった。


急いで近所にある、動物病院を探し

イケメンで有名な先生に診療してもらった。


「ホホー!ホホー!」

「今日はどうされましたか?なんだが

興奮されているようですが?」

(それはきっと貴方のせいですよ…)

母親は昔からアイドルファンで、イケメンに目がないのだ。


「ちょっと失礼」

イケメンの先生は胸に掛けていた銀色の

聴診器を母(フクロウ)の胴体に当てた。


「ホー…」

母(フクロウ)は何かを感じて顔を若干

赤らめた。いくらイケメンでも息子に見せる顔じゃないだろ!と俺は思ったことは

言うまでないだろう。


急いで母を掴み、距離を離した。

「…ホ!」

母は自分がしていたことに気づき、俺の方をゆっくりと見てきた。俺は天井を見上げて

口笛を吹き何も見てない事にしてあげた。


「先生、それで何かわかりましたか?」

「うーん、特に突出すべき点は見当たりま

せんが、どうやら食当たりのようですね」

「食当たりですか?」

「ええ、今日の朝は何を食べさせましたか?」

先生に言われ思い返す。


「残り物の焼きそばですね」

「焼きそば!!???」

先生は叫び、机に頭をぶつけた。


「大丈夫ですか?先生」

「コホンッ、お見苦しい所を見せてしまいましたね、毎日このような食事を?」


「はい、昨日も焼きそばを一昨日も焼きそばを美味しそうに食べていました。」


ガタッ!

その言葉を聞いた瞬間、先生は椅子から

転げ落ちて、気を失った。


「先生!先生!一体どうしたんですか!?」

近くにいた看護師は先生の身体を揺らしたが

俺が診察室を出るまで目を覚す事は無かった


結局、食当たり用の薬を貰っただけだっだ。

母がフクロウになった事も相談すべきだったかなぁと後で思った。


「もう、こんな時間か…」

携帯電話を観ると時は【20:00】を過ぎて

周りは暗い、とりあえず病院を出て、家に帰ろうと駐車場の車のとこまできたが、


「ホー!!!」

肩に乗っていた母(フクロウ)は暴れて、

俺を蹴ると暗闇の林の中へと消えていった。


「母さん!母さん!何処にいるんだよ!」

スマホのライトを頼りに木々を照らて探すが中々、見つからない。


数分後、

俺は自身が迷っていた事に気がついた。

(ここは何処なんだ?寒い…家に帰りたい…)一月中旬の今、俺の体温をどんどん奪われて手袋をして来なかった事を後悔した。


(俺は…ここで死ぬのか?)

木々のの下で身を丸くして数時間、もう何も考えられなくなり、そう思い目を閉じた。


ホー、ホー

「…?」

何かが聞こえる。


「大丈夫?」

「母さん…?」

目をゆっくりと開くと

そこには一匹のフクロウの姿


「母さん!」

俺は瞬時に抱き締めた。


「そっちじゃないわよ」

「え?」

フクロウの後ろを見るとフクロウになる前の

いつも通りの母の姿があった。


「森の中で消えたって連絡があって心配したんだからね、ほらっ!家に帰るわよ」

???頭は沢山はハテナマークで覆い尽くされフクロウを肩に乗せた母と一緒に

車に乗り家に帰った。


「母さん、心配させてごめんなさい、

でも、なんで2人いるんですか?」


「ああそれはね、テッテレー!」

元の母さんは机の下から

【ドッキリでした!】

と書かれた看板を出してきた。


「実はね…」

話を聴くとどうやろ俺は

【フクロウと母親が入れ替わったら、

息子は果たして、いつ気づくのか!?】

というテレビのドッキリを本当に受けたていたようだ。


最初は、箱から出した煙で母親とフクロウが

すり替わり、パソコンの文字もパソコン自体をハッキングして操っていたらしい。


そして数時間前、フクロウが暴れたトラブルで俺は森の中に入っていった事に気がついた

スタッフが俺のスマホの位置情報を探知を

して母親に出るように伝える様に促したようだ。



後日談であるが、テレビの某ドッキリ番組で流された映像を俺たち家族は笑い、俺に懐いたフクロウを番組からプレゼントされた。


「ホー!ホー!」

「落ち着けって焼きそばは、逃げないから」

フクロウはすっかり焼きそばが大好物なり

医者の指導の元、一週間に一度与えるようにしたのはいうまでない。

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