聖剣とフクロウ

立花戦

ファイナルエピソード ―無名聖剣使いよ永遠になれ―

村瀬幸長むらせゆきなが17歳の俺は宇宙の存亡の戦いに赴く。

異世界では俺のような黒髪が珍しく

イケメンのように扱われる。そんなことより今いるのは宇宙。戦闘は大変だったが

ようやく黒幕が現れた。

「目覚めろ聖剣・・・

エクスカリバー終焉を越え開放の一撃ラストプレイクリバティー!」

聖剣は、黄金よりも輝く黄金の刀身を

創り出す。その刀身の長さは10メートル

以上さらに重量は重くなるどころか

軽くなる規格外で奇跡の力。

俺は、宇宙空間では、念力障壁フィールドを常に展開していないと

窒息してしまうため、魔力を大量に

消費しないよう温存しないといけないのだが

最後の相手にそんな悠長な事など

できない。

黒幕の存在は、腕が8本ある人型のした

全身が白一色。その相手に降り下ろす。

「いけえぇぇぇーーー!!」

10メートル以上の黄金剣に掌を向け

受け止める。

「なっ!俺の最強の一撃を!?」

『矮小スギル・・・今ノ私ニ、

ソノヨウナ攻撃ヲ通ジルト思ッタカ?』

そして、七本の掌を俺に狙い定め

光の柱を・・・奔流を放つ。

「ユキナガ!!」

金髪ロングの闇の勇者

マリーナが前に出てその光の奔流を

受け止める。爆風が収まると・・・

マリーナが頭や所々に出血していた。

「マリーナ!?」

「がはっ!・・・ハァ、ハァ。

倒しなさいよ・・・ユキナガ。」

気絶すると、仲間の当代一の神官グラシが

迅速に動きマリーナを背負い

後方に下がっていく。

「・・・頼んだグラシ。それと

マリーナすまない。」

『スグニ、オワラセヨウ。』

八本の腕を上げると白い魔法を放ち

巨大な円形を作り出す。

「な、なんだこの異様な力は!?」

『ビックリップ。宇宙ノ全テノ星々ヲ

滅スル究極禁忌魔法。』

「究極禁忌魔法?」

『神代ノ時代デ使ワレタ。忘却サレタ

古ノ・・・魔法。』

「そんなの・・・与える時間があると

思うかぁ!!」

最強のエクスカリバーに袈裟斬りしようと

するが、見えないなにかに塞がれる。

「くっ、障壁か!」

『サテ、ソロソロ準備イイダロウ。』

白の存在は、8本の腕を剣に変え

そして、突進する。

「なっ!?」

『マサカ、悠長ニ、ビックリップを

発動スルノニ動カナイト思ッタカ?』

相手の言う通りだ。滅びの光の球を

作り出すのに攻撃に転じることなんて

思っていなかった。

そのため俺は、大技の発動をキャンセルして

剣戟を強いられることになる。

『フン。』

白の剣が乱舞する。つばぜり合いすれば

残りの剣が襲うため弾くしかない。

弾けないのは少し動作で躱す。

だが、僅かに後れてしまい手、足、額など

受けてしまう。

完全なる防戦一方で攻撃の隙など

与えてくれない。

「ハァ・・・ハァ・・・・・ぐっ!」

『無駄ナ抵抗ヲシテ何ニナルト言ウノダ?』

「うる・・・さい!」

いつも逆境に立たせることなんて

多々ある。そして、

諦めなかったら奇跡がいつも起きるのだ。

『ナラ・・・イネ。』

一条の光が貫かれる。

「がっ!?」

喀血し、動きが鈍くなると相手は容赦なく

剣による乱舞。

どれぐらい斬撃されたか分からず

俺は、念力障壁フィールドを解いてしまい、宇宙空間に流されていく。

味方がなにか叫んでいるが聞こえない。

『救世主ハ、我ガ倒シタ。モハヤ希望ナド

無イト思ウガイイ。』

斬撃された箇所に魔力が流れていく。

体は動けない。唯一、動けるのはこの

思考のみになってしまった。

俺がここに召喚されたのは、

一人の凋落ちょうらくの一途を

辿っていく貴族の娘によって召喚された。

黒髪ロングで碧眼の中学生くらいの

魔法使いのボロボロロープ姿だった。

俺を喚んだ美少女名前は、アルカナ。

復讐心を燃やしていた。

俺は、この復讐を止めさせようと

魔王を倒すため冒険に出るように

説得するが、最初は否定された。

食事や宿は質素だったが、俺には怪我を

すればすぐに治療などして

本当は優しいのだって気づいて・・・

強さも無理していて、本当は

慟哭していたよえに錯覚するほど

弱々しく見えた。

走馬灯だろうか・・・過去の出来事が

次々と鮮明に思い出していく。

「アルカナ!」

「ほう。逆賊の娘に庇うというのか?」

「あ、あなたは!?」

「赤の騎士団長のグランド。

貴女様に貶めた張本人ですよ。」

「・・・そう貴方がわたしの家族を。」

いつものようにモンスターを倒していると

赤の騎士団が襲撃したのだ。

相手の連携に翻弄され俺がトドメをされそうになると、アルカナの形見の聖剣が輝き

そして、俺の元に飛んできた。

聖剣によって、赤の騎士団を倒した。

峰打ちで誰も命を奪わず気絶させたが。

「母上・・・父上・・・お兄様と

お姉様と妹の仇・・・。

黒き焔は、無慈悲にして地獄を――」

「だ、駄目だ!?」

口を抑える。

「むぐっむぐ・・・どうして

邪魔をするのわたしの仇がいるのに!」

「アルカナが人を殺める所なんて

見たくない!手を汚させない。」

「なら、見なければいい。

それに綺麗事を言うのは

辟易しているのよ!」

「そうだよ。でも、確実に苦しむ。

心に痛みがあっても、なくてもだ!

それにこんな方法よりも奴等に

報復する方法はある。」

「・・・貴方が代わりにやるなんて

納得しないわよ。」

「俺とアルカナで本格的に魔王を倒す。

それで、名誉回復して真実を伝える。

そうすれば、奴等の悪辣な行いを

知ればこれ以上ないぐらい苦しむはず。」

「そうね・・・トドメをさすよりも

いいかもしれない。」

そして、魔王を倒すことに本気になった。

旅の途中で色んな仲間と出会いそして

魔王の玉座に据える魔王と戦い。

黒竜に変貌すると焔を吐かれると

みんな倒れてしまったが

俺はアルカナに告白した。

訳が分からないだろうが最後になると

考えたらつい告白してから、特攻して

皆の逃走の時間稼ぎをしようと思った。

慌てるアルカナ。

「えっ?ど、どど、ど、どうして

このタイミングなのよ!?」

「強くあろうと無慈悲な言動しているけど

本当はとんでもなく優しくって

時々に笑う顔が好きで――」

「わぁー、わぁーー!!」

そして、聖剣が輝きエクスカリバーが

パワーアップし黒竜と化した魔王を倒し

凱旋すると皆が歓迎してくれてたが、

国王は認めなかった。そして、

戦争が起きた。犠牲は多く辛いことが

多すぎた。そして決着は呆気なかった。

国王が無名の衛兵により暗殺され

終わりアルカナの過去を貶めた証拠となる

暗躍の記された手紙を見つけ

赤の騎士団は、解体し実行者は罪に問われ

終身刑となった。

それから、アルカナと結婚した。

だが、新たな脅威が起きた。

宇宙の侵略が・・・幹部を倒したと

思ったら立ち上がり俺に袈裟斬りしようと

するが、アルカナが庇ってくれたお陰で

傷は負わなかった代わりに

アルカナは、右腕を失った。

ずっと、大したことないように振る舞って

いるが、俺の弱さでこんな事に

なってしまい何度も

泣いて泣いて俺は謝った。

アルカナは、涙を流して笑って

平気だよっていつも言う。

そして、宇宙に転移するとき俺はアルカナを

置いていくことにした。

反対したが俺はそれ以上に反対した。

アルカナは、絶対に帰ってきてと

約束したのに・・・。

『終ワル、コレデ終ワル。』

意識は現実に戻る。打つ手がなにもない。

完全に諦めていると、視線にフクロウが写り

俺に向かってくる。

(こんなところにフクロウ?)

錯覚だろうか。だが、それは本物だった。

目の前まで止まると障壁を展開して

空気を作った領域に激しく息を吸う。

「ハッー、ハァ、ハァ。」

「大丈夫ユキナガ?」

「その声・・・アルカナなのか?」

「えへへへ、そうだよ。」

「どうしてここに?いや、そもそも

どうしてフクロウ?」

「ユキナガが好きな鳥がフクロウ

だったから。」

「そ、そうだけと、そうじゃなくて!」

「魔力欠如しているから、転生しないと

いけなくなって、転生するなら

フクロウにして、助けに行きたかった!」

「・・・転生って、元に戻れるのか?」

すると、フクロウは頭を横に振る。

「ううん。戻れない・・・無茶をした

けど、後悔はしていない。

助けられたんだから。」

「そうか・・・愛しているよアルカナ。」

「うん。わたしも愛しているよユキナガ。」

すると、聖剣は輝き始め聖剣は、

形を変えていく。

「これは・・・原初の聖剣カリブルヌス。」

「俺とアルカナの想いで奇跡を起こすなんて、ロマン過ぎるだろ。」

「ロマンって、なんか古い。」

「いや、言葉は基本的に古いから。

それより、この剣があれば!」

「うん。」

フクロウが俺の肩に乗りそして、構える。

『ナ、ナンダコノ光ハ!?』

「教えてやるよ。この光は優しさと想いと

願いで出来た奇跡だあぁぁぁ!!」

そして、上段斬りにより決着はついた。

『終ワル・・・コノワタシガァァ!!』

一刀両断された相手は粒子となって消えた。

「やった!これで平和に・・・なっ!?」

「そうだね。これで悔いはないよ。」

フクロウが薄くなっていき

消えそうに進んでいく。

「ど、どうして。」

「ありがとう・・・」

そして、アルカナは消えた。

地球に戻りアルカナと生活していた家に

俺は無気力でいた。

そろそろアルカナと会わないといけない。

俺は、外に出て花畑の中央に建てた

墓の前にアルカナの墓につく。

「ユキナガ・・・。」

「皆、来ていたのか。」

「ええ。」

「アルカナ・・・今日も会いに来たよ。

お陰で平和になった。揉め事はあるけど

解決しようと奔走している人がいる

のは希望だよ。

でも・・・アルカナがいないこの世界に

俺は息苦しいんだ。

会いたい・・・もう一度会いたい

アルカナーー!!。」

「「・・・・・」」

慟哭してもなにもならないのは、

分かっているがそれでも泣き叫ばずに

いられない。

俺の腰にあるカリブルヌスが輝く。

「カリブルヌスが消えて・・・」

カリブルヌスが粒子となり、

人の形を形成していく。その姿は俺が

よく知る最愛の人で――

「アルカナ!?」

俺は、二度と離さないと抱き締める。

「わ、わわ!皆、見ているよユキナガ。」

「今だけは構わない。会えたんだから。」

「うん。」

「いい忘れた。」

「ん?」

「おかえりだアルカナ!」

「ただいまユキナガ。」

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