宣告

7畳ほどの部屋で壁に沿って置かれたベッドに身を沈める。

あれから2週間...。急に泣きじゃくりながら「もう嫌だ。苦しい。」と全てを話した私を、見兼ねた両親は学校を休む様に促してくれた。3日間程学校を休んでから、早退を繰り返しながら何とか学校へ行く日々が続いている。AO入試を受けるなら、何としても欠席日数を増やさない方が良いとの先生からのお達しだ。原因不明の頭痛と目眩が起きる度に、自分の身体と心が蝕まれていく様な気がした。

今まで精神的にここまで追い詰められていたとは、自分でも気づいていなかった。親友と絶交し、その子がクラスのリーダー的存在であった為に、クラスの殆どから陰口をたたかれ、無視されるようになった私は、ただただ「ここで休んだら負けだ!自分を強く持たなくては!!」と無理をしていたらしい。

あの日の前日、私は体育の授業中に倒れかけ、内科でそれまでの症状全てを話すことになった。

最初は近くにある小さなクリニックに行ったのだが、「バセドウ病」と診断され、駅前の特殊な検査を受けられる甲状腺専門のクリニックへ向かった。

有難いことに、看護師さんは若いし、優しい。待合室に座る多くの患者さんは女性で、ほぼ満室状態だった。それだけ人気のある先生なのだろう。心電図、エコー、血液採取などの検査を終えて、1時間後に結果が出た。

ガラガラと診察室のドアを横に滑らせると、優しそうな女性がいた。


「どうぞ、お掛けください。検査の結果ですが、この3つの数値が高いの分かります?これは典型的なバセドウ病...ですね。今はとにかく安静にするべきです。」


「(まあ、そこまで重大な病気でもないでしょ。)」


日頃から風邪やインフルエンザにかかることも少ない私は、バセドウ病というものを楽観視して捉えていた。実際そんな病気聞いた事無いし...。しかし、次の瞬間、言葉を失った。


「それから、投薬治療が主流ですが、効かない場合は首を切って手術をする方が私的にはオススメですよ。ただ、どうしても傷は残ってしまいますが...」

、と診断した医師に言われた。


「(手術しなきゃいけないなんて!なんで·····なんで私が!今まで誰よりも気を配って、誰よりも努力してきたのに!!)」


その時、私の積み上げてきたもの全てがガタガタと崩れる音がした。


──これが今から1年前の私だ。ただ読者の方に安心してほしい。私は現在自分を取り戻し、地元から東京の有名大学へ無事進学を果たした。

あ、そうそう!自己紹介を忘れていました。私の名前は藍田純花(あいだ じゅんか)。このお話はそこまで暗くないから安心してね♪

今からそんな私の1年についてお話しましょう──

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私は学校に行きたくない 蓮水夜ゆき @hiyorihasumiya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る