私は学校に行きたくない

蓮水夜ゆき

第1話

私は学校に行きたくない。


_______________それは突然湧き出てきた感情だった。高校2年生のある日の夜、学校に行きたくないとふと思った。ここで言っておきたいのは、私は決して面倒だからそう思ったのではないということだ(それも一理あったかもしれないが)。只、それまでは一度も休まずに登校していたのに何故かその日になってからである。理由については大体検討がついていた。

自分で言うのもなんだが、私は学校で優等生であった。中学、高校と生徒会に入り、殆どの先生方には敬意を払い、気を遣い、周りからは正義感が強いと口を揃えて言われるほどの真面目な女子だった。思えばオーバーワークだったのかもしれない。同学年の友達には終始気を遣い、なるべく喧嘩に発展しない様に細心の注意を払っていたし、グループで発表をする時は決まって私が他の友達に代わり、締切間近に何とか終わらせていたりした。社会では、云わば営業の様なものだろう。

体裁に振り回される、こんな日々に私は疲れていた。朝起きて学校に行き、授業を受け、「学生の本分は勉強だ」などと言う大人達の言葉に矛盾を感じながら、友達の話に相槌を打っては相手に合わせ、帰れば馬鹿真面目に宿題を片付ける日々。


「もう嫌だ。」


ただその一言が口をついて出て、とめどなく涙がこぼれた。

それが私の人生の転機だった。


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