洋楽 (P~R)

Pixies(ピクシーズ)

オルタナティブ・ロックの代表格。あるいは、Nirvanaや向井秀徳の永遠の憧れ。ひねくれポップなメロディにブチ切れボーカル、爆裂ギターの組み合わせは一つのマスターピースとなり、波及した。そのストレンジで不気味で、それでいてどこかユニークな世界観は唯一無二。現実逃避的な、残酷メルヘンな歌詞世界もその裏付け。メンバーは全員デブとハゲしかいない。どうしようもないおっさんオバサンがこんなとんでもない音楽をやってるんだから、そりゃ衝撃だよな。とにかく90年代以降のギターロックはこのバンドがないと成立していないんじゃないか、と言うべきではないだろうか。ロックというものが、もともとはモテない根暗が感情を爆発させるための手段であったということを思い出させてくれるバンド。おすすめはやはりささくれだった質感の1stと、奇妙で楽しいポップがたっぷり詰まった2ndだろうか。そして忘れてはいけない。Aメロで静かにメロディアスに、サビで爆発、ということを確信犯的にやらかしたのはこいつらが最初だ。


Portishead(ポーティスヘッド)

前述のマッシヴ・アタックらと同じ、「トリップホップ」の枠組みで語られるグループ。ヒップホップの方法論をもとにして、全く新しい音楽を作る。彼らもやっていることはそれだ。だが、このグループを個性付けているのはなんといってもその「暗さ」だ。生半可ではない、地の底まで沈んでいきそうな「暗さ」。音が暗い、ジャズボーカルのような、幽霊のような女性ボーカルが暗い、歌詞が暗い。何もかもが暗い。もうどうしようもない。ジャケットも怖い。「鬱病」を音楽にしてしまえばこうなる、という感じであろうか。ホラー的な暗さではなく、自分の心の奥底にずぶずぶと沈んでいきそうな暗さ。とはいえ暗いだけだったらここまで有名になってないだろうし、Radioheadらにも影響を与えていない。暗い云々を差し置いても楽曲のクオリティが圧倒的。どこまでも耽美で美しい楽曲が並ぶ。特に1stは「映画音楽」を意識して作られたとのことで、それこそ古いジャズにも通じる、どこかレトロでカビ臭い音像が夜に聴くと気持ちがいい。というわけで、ヒップホップとかよく分からない、でも音楽で暗い気持ちを分かち合いたい、というひねくれた人には一番におすすめしたいグループです。


Radiohead(レディオヘッド)

出ました、イギリスのモンスターバンド。初期のギターロックから始まって、今や誰も到達していないところにまで進んでしまった化物共。「ロック」という枠組みをぶっ壊し、広げ続けて約25年。その音楽性は非常に説明しづらい。とにかくメンバーそれぞれの持っている膨大な、古今東西に渡る音楽的バックボーンを大量に持ち寄り楽曲が形作られる。要所要所で「あ、これは◯◯に影響を受けたな」というのは感じられるものの、最終的には「レディオヘッド」というひとつのブランドとして成立してしまっている。というわけで、俺はこのバンドが本当に本当に好きなのだが、何が好きなのかは説明しづらい。しかし、あえてそれでも、陳腐になるリスクを犯してでも言うのであれば、「活動歴だけでいえばもうベテランの域なのに、一度も立ち止まったことのないグループだから」であろうか。20年も経てば解散挟んだり懐メロ・ライブやるだけで数字稼ぎ続けたり、もしくは趣味的にぽろぽろアルバム発表してマニアックな層にだけ受ける、なんてことになっても誰も文句は言わないだろうに、彼らの場合は、売れ続け、実験精神を持ち続け、そして何よりシーンの最先端に残り続けている。何気なく語られていることだけど、生き死にの激しい音楽業界において、成し遂げていることは凄まじいのだ。いや本当に凄まじい。


Ride(ライド)

シューゲイザー・バンドの代表格。俺は1stだけしか持っていないが、シューゲとして語るならばそれだけで十分っぽい。このバンドも他のシューゲ・バンドと同じく「轟音ギター」「ささやきメロディ」を特徴としているのだが、ひとつ際立ったポイントがある。それはなにより、「さわやかさ」だ。それも、Lushのそれとは異なる。青臭い少年の持つ体臭のような……と言えば気持ち悪いだろうか。しかし、本当に音が「青い」。轟音の中に、どこまでも澄みきった美しさがキラキラと光ってみえる。ロバート・スミスがリミックスしてるのもなんか納得。硬派か軟派でいえば間違いなく後者なんだけど、この「線の細さ」に惹かれる人は絶対に居る。ということで実はシューゲイザーの中で一番聴きやすいんじゃないでしょうか。アルバムジャケットがいい。タイトルがいい。一面青の海面に呟かれる、「NOWHERE」という文字。

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俺のウォークマンの中身(続々追加予定) 緑茶 @wangd1

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