第20話 復讐完了 (BAD END)

 杏南と約束した通り、俺はそれ以降一切けいこちゃんとの関係を断った。

 しかし、一度ついてしまった悪いイメージは、世間体の中では払しょくされるはずもなく、結局けいこちゃんは、卒業と同時に姿を眩ましてしまった。



 ◇



 そして先月、俺は放課後にまゆまゆに校舎裏に呼び出された。

 そこで俺は、けいこが卒業した直後に自殺して亡くなったこと、そのための復讐をしにこの高校に入学して来たこと、そして、杏南を助けるための唯一の条件として提示されたのが、自分が犠牲になり、杏南をアメリカへ留学させること。

 これが今回の条件であった。

 その条件を、俺は杏南を守るために飲み、今回の出来事をすべて知っていながらも、演じていたのだ。



 ◇



「ホントまゆまゆにはお手上げだ…ホント策士が上手いんだから。」


「まあ、俊太君がここまでするとは、私も予想外だったけどね。どうしてあそこまでして必死に杏南を守ろうとしたの?彼女はあなたとけいこを離れさせた元凶なのよ?」

「俺にもわかんねぇよ。ただ、一つ言えるのは、同じ目に杏南を合わせたくなかったから…かな。」


 俺は口角を上げて作り笑いを見せた。

 そして、ゆっくりと席から立ちあがった。


「さてと…これで、俺の代わりに杏南を助けてくれるんだよな」

「えぇ…でも、残念だったわね。」

 

 まゆまゆはニヤリと悪い笑みを浮かべながら拳銃を向けた。


「確かにあなたは良くやったと思うわ。でも、どうやって助けるかは、ちゃんと聞いてなかったみたいだけどね」

「!?まさかお前らあやかに何かするんじゃ…」 

「あなたは先に地獄で待ってなさい」 



 ◇



 杏南が空港への道のりを歩いている時、後ろからどんどん近づいていく黒い影があった。杏南はどうやら気がついていないようだ。

 これでやっと妹の償いが出来る。そう思うと、私の胸の鼓動は脈を早く打ち、興奮が止まらなかった。

  

「…すぐに始末するからね…フフフ」

「これが、けいこへできる最後の償いよ…」



 ◇



 私は先ほどから近づいてくる不気味な足音に気が付いて、後ろを振り向いた。

 すると拳銃を構え、殺人鬼のような目をしているあやの先輩が立っていた。


「杏南、地獄に落ちなさい・・・」


 あやの先輩は私に躊躇なく引き金を引いたのであった…


 バン!!



 BAD END

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

幼馴染を守るため さばりん @c_sabarin

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ