最終章

僕達は平成のど真ん中で過ごし、令和で自分の居場所を確立できた。


そして、たくさんの迷える若者に希望を見つけてもらう努力をしてきた。


たくさんの若人が、自分で考える力をつけ、生き抜く力をつけていった。


それは先生から学んだ教えをきっかけに、自らの歩きたい道が見つかったからだ。


でも、どうしても踏み入れてすぐに助けられないこともある。



それは、たとえば、昨日歩いていた商店街ですれ違った女の人。


たくさん人が歩いているのに誰も気づかないが、僕は見えてしまった。


彼女は誰かから虐待されている。


すれ違った瞬間に、


そうではないかと感じてしまった。


なんの確証もない。会ったこともない人だ。


ただ感じただけだ。



僕は何故か振り返った。


すると7メートル位行き過ぎたところで彼女が、振り返って僕をじーと見た。


ぼんやりとした表情。助けをもとめるような顔。


でも助けてともなんともいわない。


僕はまた背を向け、歩くしかない。


警察官ならなにか聞けるのか?


弁護士なら救えるのか。


お願いだから「助けて」といってくれ。


ショッピングセンターで見かけた男の子。

必死で母親のあとを追っていた。


半ズボンからでた足や半袖から出た腕はアザだらけ。


お願いだから「助けて」といってくれ。



輝かしい発展を遂げる日本、世界から注文される日本。


その裏に、優しさや人としての心が失われている闇。


闇は悲劇、または闇の連鎖を起こす。

自分の無力をまた感じずにはいれない。


でも諦めなければ、きっとまたなにか策がある。

自分に力をつけて行きさえいれば。


僕は言いたい。

「彼女やあの男の子を一緒に救う方法を一緒に考えてくれませんか。


まだ未熟な僕を助けて。」




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13歳の春からの逆転劇 桜木 瑤 @doumyouji

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