第25話
壮絶な先生の話しを聞いた力も孝弘も香織も涙ぐんでいた。
そして改めて、そんな厳しく苦しい人生を過ごしてきた先生が、僕達に熱く語ってくれたこと、自分たちを導いてくれたことを深く感謝した。
力がしばらくして口を開いた。
「俺たち、先生に会わなかったらどうなっていたかな。」
「確かに、僕たちは幸運だったな。先生はいろんなことを教えてくれた。自らのつらい体験をエネルギーと知恵に変えてくれたよね。」と孝弘も考え深くうなずいた。
「私もあのままだったら、いまもおブスのままだったわ。それに昴と結婚もできなかった~。」香織は僕にウインクをしてみせた。
「おいおい、僕は見かけで結婚をきめたんじゃないからな。
香織は努力家だし、人に優しい。それに料理は天下一品だよ。香織の会社の従業員にもよく料理をふるまっているらしいんだ。
美容業界の従業員はすぐにお客も引き連れて独立する人間が多い中、ほとんどの従業員が僕と一緒で、胃袋がっつりつかまれているのかもな。
それと、150店舗のフランチャイズの店も香織一人が独り占めしてるのではなく、直営の店舗の店長の下につけて、指導、育成をしていて、売り上げの一部も給与としているので、やりがいもあるというもんだよな。」
すると、力が「これからの時代は自分だけが良ければそれでいいなんて時代ではないな。昔は正直者がバカを見るなんていう時代があったが、今は正直で勤勉であれば必ず報われる時代を作っていかないとな。一人の人間が何億、何千億もの大金を自由に使う時代は過去の遺物だな。」
すると孝弘も「そうなんだよ。今は研究の世界もチームで作り上げる時代になってきてる。自分の国だけで研究開発するより、数段スピードやコストも削減されるし、何しろ宇宙の何者かと遭遇した時にちっちゃい心では、太刀打ちできないからな。」
「僕たちが中学生の時には想像もしてなかった時代になったな~。
でもどんなに時代が変わっても、未来が輝かしく思えないものもいるのは事実なんだ。親や教師が急ピッチで変わる環境についていけない場合もあるし、昔あった職業がまったくなくなってしまったことも夢をもてない原因にもなっているな。
そこで、先生とも話したんだが、君たちにも力を貸してほしいんだ。」
「そうくると思ってたよ。」力がいった。
孝弘も「僕にできることはなんでもいってくれ。」と身を乗り出してきた。
「先生は今日本全国に自分と同じような講師を育てようとしている。
そこで君たちにも特別講師として空いてる時間で講演してほしい。
勿論ひとつの場所に集まるのが一番なんだか、それでは出席出来ない人も出るだろうから、スカイプからはじめて、だんだん支部を増やしていき、最終的には一同に介する場所はいずれつくりたい。
弁護士などの先生ともネットワークをつくり守らなきゃいけない子供たちを守るシステムをつくるんだ。
企画はできているからあとはズビーディーに行動するのみなんだよ。」
「それは壮大なプロジェクトだな。ぜひやらしていただくよ。」
孝弘も力も賛成してくれたのを聞いて安心したからかまた腹が減ってきた。
「さあ、ではみんな飲みすぎてるでしょうから、お腹に優しいおじやをつくったわよ。
お漬物も5種類あるから好きなの食べてね。」
「ありがたい。やっぱり料理ができる女性は最高だな。俺もそろそろそんな女に出会いたいもんだ。」力がいうと。
香織がすかさす「そんだけ目が大きいんだから両目開いてしっかり女性をみなさいよ〜。」
とはっぱかけた。
僕は、いい仲間といい妻に出会えて幸せを感じていた。
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