昨日の僕とはきっと気は合わない
浜 畑 海
第1話 高校デビューを僕はしたくない
高校受験をなんとか終えて、今、僕は春休みを満喫している。四月から高校生になるけれど、正直、今と何も変わらず過ごしていくのだろう。
最初に言っておこう、僕は二重人格だ。
けれど、勘違いしないでもらいたい。
漫画みたいに僕は勉強ができて、僕じゃない方は運動が出来る訳でもない。だって考えてみてほしい同じ身体を使ってるんだよ。
さらにはこっちは普通で、あっちは俺様キャラで、みたいに性格は大きく変わらない。
どっちも静かで、人と話せるけれど、自分から話しかけないようなタイプだ。でもさすがに別人なんだから、好みも違うし、考え方も違う。そして、あっちの方は僕よりも、キラキラした青春ってやつを送りたいらしい。その証拠に僕らの交換記録を見てほしい。
3月15日
朝飯はパン 昼飯はカレー 晩飯は生姜焼き
今日は髪を切った。美容室はいつもの。
後、美容室の帰りに晴人に会った。話の内容はーーーーーーーーーーーーで。
ーーーーーーーーーーー。
後は特に何もなかったよ。
で相談なんだけどさ
なあ、一人称そろそろ『俺』にしない?
とりあえず最後の相談は置いといて、こんな風に僕らはいつも出来事を共有している。記憶はどうやら共有ではないらしく、その日の出来事を入念に記録して、交換日記にして共有している。
で、さっきの僕の言ったことを覚えてるだろうか?やっぱりあいつはキラキラした青春に憧れてるらしい。髪型も昨日の間に大きく変わっている。いま流行りの『マッシュ?』ってヘアーらしいが、勝手にしやがった。しまいには、最後の相談だ。一人称を『俺』にしたいだって?これからわかることはひとつだ。
あいつは、高校デビューをしようとしてるらしい。
なんてなくわかっていたが、なかなかの暴挙に出やがった。勝手に髪型を変え、後、バレないとでも思ったのか?知らない服も増えてやがる。こういう場合はなんだかんだ言っていつも僕が引き下がるが、今回は認めない。
3月16日
嫌だ。絶対に認めない。後、勝手に貯金を使うな。
3月17日
勝手に使ったのはごめん。
でも、なんでだよ?中学の時で、もうこういう生活に慣れたじゃん。俺らもそろそろ目立ってもバレないって。
3月18日
そういう問題じゃない。お前は目立ちたいって言ってるけど、だいぶマシになったが、僕より人見知りじゃないか?
中2の時の自己紹介、自分で恥ずかしがりすぎて散々な結果だったって言ってただろ。あの日の後、僕は大変だったんだからな。
僕もお前もそういうの向いてないんだから目立ったっていいことないぞ。
後、まだ『俺』を使っていいって言ってないぞ。
3月19日
高校デビューがしたいんだよ!
モテたい!
3月20日
え?それでモテるの?
3月21日
テレビで言ってた。
3月22日
やるなら本気でいくぞ!俺も出来る限りのことはしてみる。
3月23日
てことは?
3月24日
『俺』採用。4月1日にむけて、俺こと
北山健の高校デビュー作戦開始!
なんだかんだで俺らの根底にあるものは同じらしい。
昨日の僕とはきっと気は合わない 浜 畑 海 @hamahatakeumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。昨日の僕とはきっと気は合わないの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます