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ボールドから与えられる圧に表面的には平気なようで実は奥の方では消耗してるのか?
マリが言うように要するに俺が未熟だからか?
自分がよくわからなかった。
マリが言った。
「お知らせがあります。屋根裏に大地の精霊が来てますけどどうします?」
「どうって……」
「放置してもよいですし、対面も……たぶん害はないと思われるのでよいのではないかと」
とりあえず確かめることにした。大地の精霊って何だ? 土の精……ならオケラとかモグラかな?
何となく怪人オケラ男が広げたその熊手のような両腕を上下に揺らしながらオケラオケラと声を発するさまを思い浮かべてしまうがそれを言うなら甲虫類の幼虫にも精となる権利があるだろう。幼虫だとサイズによるよね。人間サイズだと見た目だけで俺たちは困ってしまうだろう。何もできずうろたえるのみだ。
ともかく押し入れに入りそこの天井の板を外して屋根裏の様子を見てみる。明るい外光があちこちの隙間から差し込み視界はわりと明瞭である。が、特に変わったものは何もなかった。
「いないよ」
「おかしいですね、波動は捉えているのですが」
──とりあえず上がってみるか。
俺は屋根裏に上がってコプティノスの遺体があった所まで行ってみた。辺りを見回して何かないか探してみる。……正直ほっとする自分もいた。何もなければそれがいちばんいい。
マリがおもむろにささやき声で教えてくれた。
「後ろに来てます」
──え?
振り返るとそこには体長十センチくらいの茶色い仏像が立っていた。右手で宙を拝む態勢をとっている彼は……性別は判然としないが……目を閉じたまま「リラックス、リラックス」と告げた。声の質も性別が判然としない高音である。
そう不思議なお告げを残すとゆっくりと姿を薄くしてゆき、ほどなく消えていった。以前に現れた仏像とは違う気がした。前のやつには魔があったのだ。まあ、向こうの俺に対する感情が違うだけなのかもしれない。
とはいえ俺にこの現象の処理は無理なのであまり深くは考えないようにした。そもそも精霊というやつをまるきり理解できていないのだ。俺が若すぎるだけなのか、いずれ理解できるようになるのか、長い目で様子を見てみよう。
俺は自分がからっぽになっている気がした。気がしているだけではなくほんとにそうなのだろう。
その空虚な場所にさらなる空虚が忍び込み、重なり、マイナスの渦を生み出している。いまの気分の正体がその渦なのかもしれない……
そんな風に思っているとマリが声をかけてきた。
「ハルオ、一階に行ってコーヒーでも飲みましょう」
俺はうん、と答えてひとつため息をついた。
おわり
思い出が多すぎて、簡単には語れない《Electric Knight Rogent Fantom》 北川エイジ @kitagawa333
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