アルバ・イレ・サガ

石井和人

虚の饗宴 鋼の盃

 古代遺跡の攻略を果たした一行。しかし戦いの中でディアが命を落としてしまう。

月光旅団の中にも蘇生の儀式を行える操霊術師はおらず、列車の乗客にはいないかと考え戻ろうとしたところ、軍隊らしき集団がこちらへ向かってくる。それを目にした月光旅団の面々は立ち去ろうとする


セリル「長居しすぎたみたいだね……もしかしてあいつが呼んだのか?」


クーちゃん「クェー(そうかもしれない。今は引こう)」


セリル「そうだお前ら、あいつには気をつけろ。あの、なんだ、あのいけ好かな い……」


団員「お嬢、急いで!」


 セリルたちは捨て台詞のようなものを叫びつつ去っていく。入れ替わるように軍隊らしき集団が到着する。仮面をつけた隊長風のナイトメアが近づいてくる。横にはいつの間にか姿を消していたダミアンの姿もある。


RP(隊長やダミアンに話しかける。仮面に対するツッコミが出た場合、昔迫害にあって顔を焼かれた、などと話す)


ダミアン「勝手にいなくなってしまってすまない。偶然外に出るルートを見つけてね。彼らが巡回で近くを通る時間だったのを思い出して、合図を出していたのだよ」


隊長「我らはラージャハ帝国皇帝ドノンⅣ世陛下直属・「砂鷲団」の者だ。ラエル卿(ダミアン)からの救援要請を受け駆けつけたのだが、無事かね?聞けば月光旅団とかいう盗賊団が現れたようだが……?」


※ダミアンは隊長に「月光旅団に列車が襲われ、近くの村からの交換条件で遺跡を探索することになった。蛮族やアンデッドが出現する可能性があり、旅団も近くにまだ潜んでいるかもしれない、などと話していた(事になっている)


ダミアン「盗賊は……去ったようだが。もっと急ぐべき事情があるようだね」


RP(ディアの蘇生を依頼)


隊長「術式を執り行える術士はいるが、設備が足りない。列車にはないか?」


ウルザ「わしが持っとる。いざという時のために用意しておいたんじゃが、使う術士がいなくなってしまっての。持っておきたいから、代わりを買うガメルが欲しいんじゃが」


 蘇生にかかる1,000ガメルを支払う。なければダミアンから借金orウルザを説得してロハにしてもらう。方針はその場にいるメンバー(ヴィル・ギルバート)のRPで決定。算段がつくと一行は村を経由し列車へ戻る。村長への報告はウルザがしておいてくれる。


ロナルド「ディアさん!?そんな……」


ダミアン「落ち着きたまえ。遺体は重要な部分の損傷を免れているし、それほど時間も経過していないはずだ。冒険者の多くは蘇生を受け入れると聞く。それに君はルードくんと自分の役目を果たしている。他人の死に負い目を感じることはない」


ロナルド「そうだった。『ここ』では蘇生できるんだった。死んだことには違いないし、ペナルティはあるらしいけど」


ダミアン「ふむ……?」


 砂鷲団の術士がディアを蘇生させる。RPで皆のリアクション


隊長「蘇生を受け入れたか。それでは我々はこれで失礼する。ギルドの仕事に介入するのは避けねばならんのでね。それに月光旅団を追う必要もある。……ディアといったか。もし居場所がなくなったなら、我が団の元を訪ねるがよい。仕えるべき相手に忠誠を誓える実力ある者であれば、何者も拒まれはせん」


RP(リアクション。ここまでで隊長の正体を疑うロールがあった場合、達成値25で判定を行う。自動成功の場合、直感的に正体に気づいたが、証拠がなく問いただすにもどう聞いたものか判断がつかず黙っておくことにした、とする。正体についてプレイヤーには説明する)


 砂鷲団はその場を立ち去り、一行は村長が約束通り支援してくれることになったため、列車の修理と物資の補充を行うことができた。準備が完了すると、村と修理に協力してくれたウルザに挨拶を済ませ、列車は再び北に向け出発することとなった。


ウルザ「遺跡のリッチロードが落とした魔剣じゃが、文献に記されていた魔法文明以前に遡る剣と関わりがあるかもしれん。ユーシズあたりに行けば由来を知っとる者がおるやもな。お主らのリーダー君の家は旧文明の記録に関しては大陸有数のコレクターとしてその筋の好事家や学者には有名じゃし、そっちをあたってみるのもいいかもしれんの」


 列車はその後何事もなく北へ進み(ロナルドが「そういえば北の方には蛮族列車強盗団とかいうのがいるんだっけ」などと口にして周りに突っ込まれるRPを挟んでも可)キングスレイ鉄鋼共和国の首都・キングスフォールの中央駅に到着した。ホームで乗客を降ろしたあと、待っていたギルドの担当者から報酬を受け取る(前回で入手していない場合はここで取得。剣のかけらあれば渡してランクアップも可)


ギルド職員「仕事はこれで完了だから、あとは自由にして構わない。店や宿も冒険者待遇で使えるから観光でもしていくといい」


RP(この先の行動について。ドレイクの行方を追うことになるか?)


ギルド職員(ドレイクについて尋ねられたら)「ドレイク?特徴がわからないと何とも言えないな……。ただ最近この地方は魔導列車やキングスレイの要人を狙う集団が出没しているから、その一味かもしれないね。(背景を聞かれた場合)ドーデン地方は魔導列車網で都市単位・国単位で産業や経済の専門化が進んでいる。例えばこのあたりは工場や商会が集まっているが、畑は少ない。その分は他の地域で生産し、売却することで成り立ってる。こうした相互依存を進めることで地域間の争いのリスクは減るし大規模な生産による値下げも可能になっている。一方で地域の自立は損なわれ、安い製品を作っているところは実入りが減ってしまう。それで現在の経済のあり方を快く思わないものも多いんだ。中にはそれにつけ込んで商売の邪魔や破壊工作を請け負う蛮族やならず者までいるらしい。君らが探しているドレイクも、そんな集団に属しているのかもね。彼らのような高位の蛮族は、守りの剣のせいでここのような都会にはまず入れないけど」


RP(感想、リアクション)


ギルド職員「元々今の最高議長が鉄道による国家間の互恵関係を志向する人なんだけど、手法が今のようになってきたのは君たちが送ってきたあの人が政界や実業界で知られるようになってからさ」


職員が指差す方ではダミアンが出迎えに来たらしい人物と話している。彼はこちらに気づくとその人物と近づいてくる。


ダミアン「世話になったね。私はこれから用事があるので案内はできないが、せっかく遠くまで来たのだし、見物していくといい。閣下、こちらが今話していた冒険者たちです」


ダミアンが話していたのはキングスレイの元老で13家門が存在する鉄道卿の一人、キルケー・ランカスターである。


キルケー「はじめまして。キルケー・ランカスターよ。冒険者になって日は浅いようだけど、なかなか頼りになりそうね。ダミアンが冒険者の話をするのは珍しいから不思議に思ったのだけれど、なるほどね」


キルケーはメンバー一人ひとりに何かを見抜いたような視線を向ける。


RP(キルケーに挨拶)


ロナルド「ダミアンさんは、ランカスター殿とは以前からお知り合いみたいですね」


ダミアン「彼女は私の事業の師であり後援者でもある。どこの馬の骨とも知れない私を引き立ててくださったのだよ」


キルケー「私は有用な人材を有効活用しているだけ。最高議長に紹介したかいがあったわ。パックス・フェリリヴィアーリア鉄道による平和とはよく言わせたものね。あなたって本当に不思議な男。まるで未来を見てきたみたいに思えることがあるわ」


 一同が話していると、キルケーの部下らしい人物が彼女に手紙のようなものを手渡す。彼女はその場で手紙に目を通し、ダミアンにも見せる。


ダミアン「一つ提案なのですが、彼らに協力させては?……諸君、口は堅いかね?依頼したいことがあるのだが」


RP(依頼についてダミアンに尋ねるなど。その場合自分の一存で詳細は言えないと答える)


 依頼を受けることにした一行はダミアン達とともに駅内の貴賓室のような場所に通される。部屋の入口には警備として、ハーヴェスにいるはずのリタとアンナがいる。


リタ「こんなところで会うなんてねー。私達もみんなのちょっと後に列車で出たんだよ。」


アンナ「戦力が増えるのは有り難いけど。みんなは”違う”のか確かめないと」


ダミアン「彼らとはキングスフォールに入る前から同じ列車に乗っていた。その可能性はないと請け合おう」


リタ「そうなの。ところでおじさん誰?」


アンナ「ちょっと、VIPに失礼なこと言わないの!それにこの人が誰か知らないの?列車の中で読んだ新聞に載ってたじゃない」


キルケー「お嬢さん、ダミアンの若作りを見抜いたのね(ダミアンの実年齢は50歳。見た目が若く有名になって日が浅いので青年実業家と呼ばれている)。この子たちの素性は私の方からも請け合うわ」


 リタたちは一同を部屋の中へ通す。そこには若い男性とその侍従らしい数人と、ディーン、そしてドラゴンファイアの受付、リーナがいる。ダミアンとキルケーは若い男にうやうやしく挨拶する。半テンポおいてロナルドも同様にする。他メンバーも達成値7の知識判定で誰か分かる。ハーヴェス国王のヴァイス・ハーヴェスである。


 ヴァイス「ランカスター殿・ラエル殿。ご足労頂き感謝する。ディーンやリーナさんは、そこの彼らとは知り合いのようだな?」


リーナ「はい。彼らもドラゴンファイア所属の冒険者です」


RP(ヴァイスへ自己紹介&ディーンたちになぜここにいるか質問)


ディーン「詳細は秘密なんだが、国王陛下の護衛任務でな。リーナの姐さんはギルド長の名代みたいなもんだ。にしても、お前らが無茶してないか心配だったから帰りがけに様子を見てやろうかと思ってたが、奇遇だな」


ヴァイス「諸君、依頼内容ははまだ聞かされていないと思うが、解決するまで他言無用で頼む。俺から諸君に依頼したいのは、妹のアイリスの救出だ。妹は俺と別の列車で先にキングスフォールに入っていたのだが、同じ列車の乗客らしき者に連れ去られた。聞けば、魔剣のようなものでその場でシャロウアビスのような空間に引きずり込まれたらしい」


ダミアン「『魔剣の迷宮』に引きずり込まれた、というところでしょうか?実行犯はその魔剣を持って逃げれば、人一人抱えるより容易に脱出可能だ」


ディーン「しかもその魔剣ときたら、持ち主の体に吸い込まれるように消えちまったらしい。ただでさえ周囲でなく自身の中に迷宮を作るってだけでも規格外なのに、全く厄介な代物だぜ」


キルケー「実行犯に心当たりはあるの?それほどまでの魔剣であれば、有象無象では入手さえできないわ」


ヴァイス「実行犯はしばらくして現場近くで見つかったが、おかしなことにその時間は別の場所にいたことがわかっている。実行犯は魔神族の「ダブラブルグ」と見ていいだろう」


 ダブラブルグについて説明する。知識判定してもよい。知っているプレイヤーがいればRPで解説すること。


ダミアン「魔神族ならば守りの剣が効きませんから、間違いないでしょうな」


ヴァイス「とはいえ、魔神族がただ都市部に侵入し通り魔的に妹を襲ったとも考えにくい。何らかの計画があるとみるべきだろう。このあたりで魔神族を動かせる組織とすれば、蛮族列車強盗団か……」


キルケー「彼らは所詮野盗です。単独で王族を狙うとは考えにくいわ」


RP(状況がわからないなりに推理)


 しばらくするとアンナが入ってきて、犯人による犯行声明がヴァイスや共和国議会に宛てて出されたと伝えてくる。


アンナ「声明は鉄錆の戦闘団ラスト・バタリオン」の名で出されたそうです」


ディーン「(パーティに)今のキングスレイのやり方に異を唱える連中の中の過激派だ。蛮族や魔神とも手を組む手段を選ばないイカれ野郎どもと聞いちゃいたが」


ロナルド「テロリストってやつですね。他にも入り込んでる仲間がいるかも」


 皆言葉の意味がわからず一瞬キョトンとする。


ダミアン「ギルドの人員を手配してすでにキングスフォール市街は封鎖されているが、奴らの能力の前では効果は薄い。移動範囲が限定できていればよいが」


ディーン「見失った方向からして、駅の地下にあるメンテナンスルートに逃げた可能性がある。出口は全部封鎖したそうだ」


 ダブラブルグの知識判定を行っている場合全員に2d+知力ボーナスで振ってもらい、12以上なら人混みに逃げた方が有利なのにメンテナンスルートに逃げたのがおかしいと気づく。ボーナスで全員に経験点200点。失敗した場合そのまま地下探索する流れに。


 キルケー「なるほどね。以前から奴らがなぜ警備をかいくぐって市街地で活動できるのか不可解だったけど……。駅の地下に脱出路もしくはアジトがあるんじゃないかしら?」


ディーン「それなら地下道を探ってみるとしようか……と言いたいところだが。陛下の安全を考えると、ここを空にするわけにもいかんしな。侍従の方々もみんながみんな戦闘の心得があるわけじゃなさそうだ」


RP(自分たちで地下通路を探索すると申し出る。欠席者のPCは待機もしくはフォロワーとして連れて行く)


ヴァイス「皆済まないが、妹を頼む」


リーナ「敵の数が多くてアイリス様を救出するのが難しいようなら、一旦戻って報告をお願いします」


キルケー「そうなれば議会に軍の投入を依頼しましょう。奴らを殲滅する好機ということにもなるものね」


 買い物があればここで済ませること。


 一行はキングスフォール中央駅のメンテナンスルートである地下通路に進入する。中は魔導機の照明により明るい。内部は回廊状になっており、1ラウンドかけて振り向くか1ブロック進むことができる(メンバーのうち誰かが後ろを見ながら進む、といったことも可能)。内部にはダブラブルグが合計2体潜んでおり、後ろから見られていることに気づかない場合PCに化けられてしまい、ひと目見られただけなら敵の先制値に+1、6ラウンド以上なら必ず先制を取られる。各ブロックでは探索判定を実行可能だが、探索には10分かかるため、確実に戦闘になる(その場合は挟み撃ちされる)。戦闘は上級戦闘で、発見して戦闘になった場合は30メートル、敵から仕掛けてきた場合は15メートルの距離からスタートする。仲間同士の位置関係は探索開始時に確認しておく。


ダブラブルグ「(戦闘前)魔剣と迷宮の秘密に気づいたか。いかにも、我々は魔剣を鍵としてここ地下通路にある迷宮に出入りしていた。我々を倒せば入口の鍵が手に入るかもなぁ!」


敵:ダブラブルグ✕2(最大)ステータス変更はないが、姿写し発動中は味方の命中・回避マイナス1(仲間の誰かに化けられてひるんでしまうので)。


ダブラブルグ「(断末魔)我々がまだ魔剣を持っていると思ったか?残念だったな、トリックだよ。魔剣は我々の手にはない!」


ダブラブルグは迷宮には入れまいと高をくくり、入口の場所を教えてドヤ顔で爆発四散するが、魔剣ベレドが作用して中に入ることができる(近づくだけで勝手にベレドが反応し入口が開く)。ここで一旦戻ってのショップ利用は可能だが、睡眠は不可。


 魔剣の迷宮内部はなにもない虚空だが、中央に浮島があり、そこを中心に200メートルほどの通路が放射状にいくつか伸びている。通路の端には巨大な扉が存在している。入ってきた入口もその扉の一つ。通路はちょっとした街道ほどの幅がある。さらによく観察すると、通路に沿ってシャザーレイが数体配置されている。通路からシャザーレイの間は虚空に隔てられており通過できない。全員200÷全力移動で通過するのにかかるラウンド数(小数点以下切り捨て)だけダイスを振り、3~6が出たらシャザーレイの光条が当たる。ただし射撃・投擲系の攻撃か魔法による攻撃を可能な者一人に付き3回まで行いクリティカルが出た場合、シャザーレイの発射筒が破壊され攻撃を受けなくなる(1回でも成功すれば良い。誘爆してすべて吹っ飛ぶイメージ)。浮島にたどり着くと、アイリス・ハーヴェスが拘束されているのを発見する。


RP(アイリスの様子を確かめる、扉を調べる等。アイリスは気絶しているだけで、起こすと起きる)


アイリス「あなた達は、ドラゴンファイアの冒険者ね。時々有望な新人がいないか覗きに行っているし、顔と名前くらいは覚えているの。兄様、陛下に言われてここへ?」


RP(状況説明・質問)


アイリス「私はここに連れられてきたから、詳しいことはわからないの。でも鉄道卿の推理は正しいと思う。おそらくこの迷宮は魔剣を使って駅の地下と他の場所をつなぐ、魔導機文明のテレポーターのようなもの。今は小規模な偵察や破壊工作にとどまってるみたいだけれど、かなりの数を動かせるとしたら……」


 入口があった地点は通路への物資の搬入口がある場所で、数十人単位で通り抜けさせることも可能なように一同には思えた。


アイリス「迷宮はシャロウアビスのように消滅させることはできないけど、核になる魔剣を持っていれば悪用はされなくなる。私はいま魔剣を持っているのが誰かはわからないけれど…」


ドレイク「さすがはハーヴェス王の右腕、小娘ながら頭が回るようだ」


 入ってきた通路に以前戦ったドレイクが立っている。ベレドに似た雰囲気の魔剣を持っている。傍らには魔法文明に通じた蛮族、ケパラウラが立っている。


RP(ドレイクを問いただす。迷宮はドレイクが持つものとは別の魔剣が作ったもの。任意の地点同士を迷宮を通路としてつなげることができる。ドレイクがケパラウラの援護を受けて自分の持つ魔剣も移動式の入口として使えるよう迷宮を歪めている。核となる魔剣は別のところにあるらしい。ルードがレイシアのことを口に出すと、途端に機嫌が悪くなる)


ドレイク「(パターン1)生憎だがこちらは忙しいのでね。これから到着する連中にお前たちをくれてやってもよいが、肩慣らしに始末させてもらおうか。姫殿下はそこで見ているといい。外の連中をおびき寄せる餌としてもう少しいてもらう必要があるのでね」

「(パターン2)俺をあいつと一緒にするな……俺は俺だ!雑魚どもが、俺をコケにしやがって!気が変わった。お前ら全員この手で殺す!」


ケパラウラ「(パターン1)やれやれ、逃げも隠れもせず戦うのは趣味ではないのですが」

「(パターン2)怒らせてしまったか。勢いで人質まで傷つけなければよいのですが」


敵:ドレイク×1・ケパラウラ×1・アザービースト×2

ドレイクを怒らせてしまった場合、ドレイクからのダメージ+1、ドレイクの命中-1、回避-2。上級戦闘で、ケパラウラがPC側先頭の30メートル向こう。その5メートル前に残りが配置。


ケパラウラ「(断末魔)ここまでとは……。これでは枢機卿からのご指示が完遂で……き……」


ドレイク「まさか……追い詰められるだと……?認めんぞおおお!」


 ドレイクが竜形態に変化する。状態はそのまま戦闘準備からやり直し。状況次第で回復あり(アイリスがどうにかして回復する体で)


敵:ドレイク(竜形態)×1+剣のかけら✕パーティ人数分。怒らせていても判定修正はこの戦闘ではなし。勝利できれば経験点300点、勝利時誰も死亡も気絶もしていなければ剣のかけらが倍手に入る。勝利時ルードによるトドメRPを行う。


 ルードの一撃でドレイクは力尽きて人型に戻る。


ドレイク「まだだ……たかが、こんな冒険者共ごときに、邪魔されるわけには……」


???「そこまでです。下賜されし『フルカス』をみすみす失い、一騎士に過ぎないあなたへの聖下のお心遣いに恥と損失で報いるつもりですか」


ドレイク「その声は……!しかし、このままでは作戦が!」


???「もうよいのです。目的は果たされました。帰還するのです、騎士よ」


一行が声の方向を見ると、聖者のようでも狂信者のようでもある、美しいルーンフォークの女性が立っている。流麗な彫刻が施された銃を持っている。正体はゾディウス教団の枢魔卿・テフェリア=グラス。


テフェリア「冒険者たちよ。ここでのあなた達の役割もまた終わりました。なお事を構えようというのであれば、それは主なる神が望まれた計画への反逆。排除させていただくことになります」


RP(名を尋ねる、等)


テフェリア「あなた方に対し名乗ることは許されていません。しかし、あなた方にいまだ私の知り得ぬ役割が主によって定められているのであれば、そのときにお教えすることもあるでしょう。それから、ガートルード・ダイラス。この者はあなたが追う方ではありません。それでもなお彼と魔導天使を追うのであれば、覚悟しておくことです」


テフェリアはなにかの魔法を詠唱し、ドレイクとともに消える。


アイリス「なんだったのかしら、今の……。ルーンフォークが神を語るなんて……」


 その後一行はアイリスを連れて迷宮を出てヴァイスらのもとへ戻る。ヴァイスは一行に丁重に礼を述べた後、一行が戦っている間に『鉄錆の戦闘団』のアジトを発見して強襲し、核となる魔剣が回収されたことを教えてくれる。


ヴァイス「これで一安心だな。改めてみんなには礼を言う。その名を覚えておこう」


アイリス「私からも改めてお礼を言わせてもらうわ。また当てにすることもあるだろうから、そのときもよろしくね」


 一行はヴァイスの計らいでリーナたち共々キングスフォールのホテルに宿を取り十分な休息を取ることができた。翌日キングスレイの国家元首、ゴーティエ・ジルベール・フィエ最高議長から今回の労をねぎらわれた後、ヴァイスたちがキングスフォールを訪れた目的を議会を傍聴し知ることになる。それは大陸の主要な地方を結ぶ鉄道網を建設し経済と物流の統一を目指す計画であった……。


 詳しい内容は希望あれば次回以降で。各国首脳が集まっているのでここから諸国とのコネを作る展開もありか。リーダーの家族も来ているかも。



 同じ頃、大陸の何処か。テフェリアは傷ついたドレイクを治療する。


ドレイク「聞かされていた計画では迷宮を使って戦闘団の連中を送り込み、会議の開催を阻止するはずだった。奴らの計画を潰して大陸の秩序を後退させることこそ、主の望みではないのか?」


テフェリア「騎士よ。あなたがその思い上がりを正すには、主たる『虚無の王』が望まれる虚無とは何かを理解しなければなりません。この度のあなたの天命は、あなたの至らなかった部分は『福音』殿が成してくださいました。より精進することです。あの方が地上でなされる事共を見聞し、主のご意志を学びなさい。そうすれば、より大きな天命を授かることもあるでしょう。来るべき主カラゼナスの顕現を寿ぐ祭儀、虚の饗宴ホロウ・アタラクシア成就のために……」(続く)



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アルバ・イレ・サガ 石井和人 @kazuhito_ishii

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ