年下のオトコのコ

掌編（読み切り）

　全く、嫌になっちゃう。

　話しかけたって、生返事ばかり。

　ずっと「マインクラフト」に夢中だし。

　テレビのチャンネルだっていつも見たいのを譲ってあげてんのに。

　掃除も洗濯もぜーんぶあたしがやって。

　それが当然って顔しちゃってさ。

　部屋の片付けもロクにできないくせに、出かけるときは妙に洒落た服を着ようとするのも、すごーくナマイキ。

　久しぶりに話しかけてきたかなーと思えば、大体が欲しいものがあったり、下心だったり。

　時々本当にヒステリーを起して、頭ごなしに怒鳴りつけては、後でもの凄く落ち込んで。

　だけど、そんなのこっちが気を回すほどには全然気にしてなくて、ケロッとしてるし。

　それがまた、ムカつくんだけど。

　でも、寝てる間は天使。

　くせのない髪と、張りのある肌。

　ずっと昔、わたしたちがもっともっと親密だった頃のことを、すごく思い出すの。

　そして、キュンと胸が痛くなる。

　時が経って、その親密な空気は消えてしまったけど。

　でも、やっぱり。

　小学６年生のあいつはあいつは可愛い、年下のオトコのコ。