恋バナって難しいですね

「それで、彼の家に行ったと」

「はい……」


 私は今友達である桜木結花さくらぎゆいかの家にお邪魔しています。結花は私が小学生の時からの知り合いで、中学は私が別のとこに行き疎遠になってしまったのです。


 しかし高校生になり、また同じ学校に通うようになったということで今年の春からまた仲良くしてもらっています。


 そして私は今、結花の前で正座をしています。結花はデスクチェアに足を組んで座っています。細メガネをしているため似合いますね……。余談ですがこれを言ったら怒られました。


「生徒手帳をポストにでも入れるか、なんなら学校に届けるでも良かったのに、わざわざ家に行きインターホンを押して、さらには一緒にカフェに行ったと」

「はい…………」


 改めて言われると自分はすごい事をしたな……と思いますね。


「まあ、その行動力は褒めてあげるわ。というか素直にすごいと思う。でもね……言いたいことはわかってるでしょうけど、見方によってはストーカー行為よ、それ」

「やっぱりですかぁぁぁ」


 言われてしまいした。悶えます。悶えています。正座のまま床に頭を着け、頭を抱えます。恥ずかしい……。


 そんな私に結花はふう、と息を吐き、そして優しく語りかけます。


「まあ、嫌な顔せずに楽しんでくれてたんならよかったんじゃない? 連絡先も交換できたんでしょ?」

「それはまあ、そうですけど」

「それから連絡はとってるの?」


 ポシェットからスマホを取り出し、河奈さんとのトーク画面を開いて結花に渡しました。


「? ……全くとってないじゃない」

「何て連絡すればいいかわからないんですうぅぅ」

「はぁ……」


 私がまた一人で悶えていると、頭上からスマホのキーボードをカタカタと打っている音がしました。


「うぅ……? 結花ゆいか何してるんです?」

「何って、織音の文面を真似してメッセージを送っただけよ?」


 ……?


 ……。


 ……!?


「なにしてくれちゃってるんですかぁぁぁぁ!?」

「だってー奥手すぎるもの貴女」

「何で結花が拗ねた顔してるんです?! 私がしたいですよその表情!」

「怒らない怒らない。かわいい顔が台無しよ?」

「何で窘められてるんでしょうか……」


 ガックリと肩を落とし、床に両手をつきます。


「さあ? おみくじが大凶だったからじゃない?」

「ここにきて響きますか……」


 お正月に引いたおみくじの結果を結花に話しましたね、そういえば……。


「あ、返信きたわよ」

「!?」

「はっや……」


 結花からスマホを返してもらい、トークを確認します!

 

 ……。


「……」

「なんて?」


 それを視認した途端、ばくばくと鼓動が早くなるのがわかります。血が回り、顔が熱くなっていくのを感じます。


「『今からか? 俺で良ければいいけど……どこに集合だ?』って。結花……貴女……」

「……『服を買いに行きたいんですけど、お暇であれば付き合ってくれませんか?』はダメだったかしら?」


 だめじゃ……だめじゃない……ですけど!


「……うううぅ……今から……何着ていけば!?」

「今着てるのでいいじゃない」

「……変じゃないですか?」


 立ち上がり、結花に服装を見てもらいます。今日は水色のフレアスカートワンピースに白色のレースのカーディガンを羽織っています。


「変じゃない変じゃない。かわいいわよ。どこに集合にするの?」

「……駅、ですか?」

「服買いに行くなら電車乗って出た方がいいと思うし、それでいいと思うわよ」

「わかりました! 送ります!」


 確かに、服なら少し出た方が買いやすいですね……!私は準備をして、結花の部屋のドアに手をかけます。


「じゃあ、私行きますね。ありがとうございます、結花」

「いってらっしゃーい。話は聞かせてねー」

「は、はいっ! お邪魔しましたっ」


 結花に見送られ、駅へと向かいます。空は青く、青く雲一つなく澄んでいました。私は高鳴る胸に合わせ、少し小走りで駅へと走ります。








「……さて」


「あ、もしもしおとぎ? そっちはどう?」


「……よし、なら――尾けるわよ」

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スプロケットと天の川 加波 @kanami0422

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