会社の人間関係、場所、行動、ドラマを見ているように細かに具体的に描かれていてとても、リアルです。心霊現象や謎解きの構造が突飛であったり、過度に残酷な表現をしないのに、心霊現象以外の描写があまりにも現実的なので、他人事ではない、迫りくる怖さがあります。読者に身近さを感じさせるリアルな作風とこちらに忍び寄ってくるタイプの心霊現象という組み合わせの相乗効果のなせるところだと思います。
自然に状況説明を入れてくれているので、文章もめちゃくちゃ読みやすいです。また、このテイストのお話を読みたいです。
内容がわかるタイトルにしようと思ってボツになりましたが、最初にレビュータイトルにしたかったのは「怖い…!うまい…!」です。
最近のスマホゲームって、面白いうえに機能が多くて動きも早くて、アプリを開いてプレイするたびにすごいなぁ、と思わされます。多くの人がゲームに夢中になって、ゲームを隅々まで楽しみたいと思って、攻略サイトを見たりそこに書き込んだりします。
でも、隅々まで遊びつくしたいと思うわりには、私たちユーザーはアプリのほんとうの中身、アプリが動作する上でどのような処理がスマホの中で起こっているのかを知りません。俗に「ブラックボックス症候群」と呼ばれる現象です。ゲームの表面に出ている情報はほんの一部で、そのプログラムコードに何が書き込まれているか、といったことはユーザー側には分かりません。あるいは何かの情報が非表示にされていても気づくことができません。
この作品を読み終わったら、ぜひご自分のスマートフォンを開いてアプリ一覧に目を通してみてください。あなたが「遊びつくした」と思っているゲームアプリを起動してみてください。
何も変わっていないはずのそのアプリの、あなたには見えない「中身」が知りたくてたまらなくなっているはずです。