第15話 変貌
その日、世界は変わった。ケモノと呼ばれる異生物が出現し、人類は戦いへの道を歩み始めた。幸いなのは、物理攻撃がきちんと効果があったこと。人類が持つ武器で対応することができた。そもそもウィルスや放射能(から出る放射線も)にすでに汚染されているという危険もあったが、今のところ問題はないようだ。
この戦いの全貌は、まだわからない。どれだけのケモノがこの世界に入ってきたのか?そもそもなぜ兵士でなかったのか?今はまだその謎は分からない。
確実なのは被害者が出たこと。問矢の部隊でも、十数名の被害者が出た。
ケモノへの対策は、本拠地がないために対ゲリラ戦に近いものだった。どこに出現するのかすらわからない。それは都会であろうが、森の中であろうが、砂漠であろうが同じ。どこの国の軍隊も躍起になってケモノを倒した。だがケモノはいなくはならなかった。場所を変え、時刻を問わずケモノは出現した。
人間は、飲食を摂らなければ生きていけないし、経済活動もある。そう、閉じこもっていては、進化が止まってしまうのだ。かといって軍隊をすべての場所に配置するわけにもいかない。
各国の政府が集まり、様々な対策を講じた。警察や軍隊による警戒といった古典的なものから、各所にセンサーを配置し、UAVによる迎撃まで。それなりに効果はあった。しかし最も効果があったのは、AIによる出現場所特定だった。ケモノの出現には何かの法則があり、AIはそれを理解していた。多くのデータベースから構築されたその中身を人間が理解できるまではもう少しの時間が必要だった。それはこの事態の大きなヒントだった。
不思議なものでそのような状態が普通になるまで1か月ほどだった。被害は、減っていったがゼロではなかった。とは言え人々は普段通りに近い生活へ戻っていった。
そして何より、人々が頼りにしたのがガーディアンだった。彼らは、空を飛び、凄まじい切れ味の剣、小型誘導弾を所持していた。だがエネルギーや弾薬を使う以上、いずれそれらは尽きていくと考えられていたが、彼らはきちんと補給を受けることができていた。物資はロードと呼ばれる異世界とつながっている道から供給されていた。すべてのガーディアンは自衛隊員だった。彼らは日本だけでなく各国に現れ、ケモノを倒していた。彼ら自身も目的は明確ではなかった。更に食料や生活物資も提供してくれていた。パワーアシストは、そんなに重要な秘密ではなかったようで、技術を公開した。センサーの一部を除いて、この世界の技術でも作るのにそんなに時間は必要なかった。センサーの開発は、ナノチューブを使ったもので開発には数か月必要だった。だが剣と小型誘導弾だけは、違ったらしく彼らはその技術だけは公開しなかった。
崩れた日常は、異世界からの訪問者により、普通とは言い難いが、以前に近い生活を送れるようになっていった。
もっと撃て! にゅるけい @kdzim
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