当方の応援コメントは半分がガブリロさんへのエールです。 ※完結追記

※小説は絶対評価、ということで星の数は適当です。
※54話まで読んだ感想です。
※追記 最後まで読んだ感想です。


これはレビューというより、こういったSF・仮想戦記・ミリタリーと群像劇が絡み合った小説に馴染みが無い方のために、同じくまったく馴染みがなく佐藤大輔さんのSF小説をかな~り苦しみながら読んだ経験がある者として、「こうやって読んだら面白い+楽かも」という『提案』に近いです。


まず、とっても登場人物が多い上に、銀河系レベルで複雑な政治情勢が絡み合っていて、さらになかなか見慣れない軍事用語やSF用語がたくさん出る文章を読むコツとして「とりあえずざっと読んでいく」というものがあります。なんとなく最後の更新分まで読んでしまって、あとからゆっくり読み返してみる。すると、内容がよく理解できます。

次に、キャラで読んでみます。

タカユキ・ツナミ・・・ある日突然、練習生から艦長になってしまった次席候補生。直情径行なので、優秀さと未熟さが分かりやすい主人公格。軍人らしく、ほかの乗員を「貴様」とか呼んじゃう。艦にはコトミという幼馴染の同級生が乗っている良いご身分の22歳。

ユウ・ミシマ・・・主席候補生。だけど艦長ではない。名家の跡取りで、タカユキと比べると余裕があって腹芸もこなせる。こいつが下船中にお姫様を拾ってきたせいで大変なことになる。個人的裏主人公。あと多分ツンデレの22歳。そして思った以上に曇りキャラだった。彼が曇ると物語が進む。

シホ・アマハ・・・姉御。あと漢。なんだかんだ熱くなりやすい主席と次席をなだめすかして良い感じに取り持つことができる第三席の26歳。マジ姉御。元会社員で「昔ちょっとね……」的な過去がある。

エリン・ソフィア・ルイゼ・エストリスセン・・・エリン以降は多分覚えなくても大丈夫なミュローン帝国(←悪い国)の皇女。庶流の出で、継承権は低いが帝国のやりざまに疑問を抱いている。いまいち使えない奴に革命のシンボルにされそうになったと思ったら、腹黒そうなミシマくんに会ってやっぱり利用されそうになる18歳。修羅場を抜けて逞しく成長中。

ガブリロ・ブラム・・・ガブリロさん。レビュー主の一押しキャラ。すごく有能そうな出方をしながら、あとは状況に流されるばかりの、革命を夢見る大学生。アマハと同い年の26歳なのに、やることなすこといちいち締まらない。作者がそれを意図して書いたかどうかは別として、すっかりこの人が出る度に微笑みが漏れるようになってしまった。作中、彼が出て来たら「ガブリロさんパン買って来いよ」と暖かいエールを送ってあげて欲しい。いよいよ名前が出るだけで面白くなってきた。

メイリーとキム・・・民間人代表っぽい少女2人。メイリーは政治家の娘で、キムは天才的なハッカー。

アーディ・アルセ・・・帝国軍の大佐。練習艦カシハラを追いかける宇宙装甲艦アスグラムの艦長。エリンを帝国の傀儡にしようとする連中の部下。ヒールだが軍人らしい気高さも見せるので、多分CVは故・石塚運昇さん。



最後に、この小説は面白いです。皆さん読みましょう。


※追記

無重力と青春の叛逆大航海。謀略に巻き込まれ、海賊とも出会い、愛する者と恋をし、永遠の離別さえも経験する。

最後は帝国王立軍と自分たちの師が乗った航宙軍を相手取り、一手間違えば即詰みの手に汗握る艦隊戦。

壮大で長大な歴史の一エピソードを切り取った七週間の宇宙航海。少年たちは成長し、世界はほんの少し変わる。エピローグはささやかな読者へのプレゼントでしょうか。書き切った作者に最大級の賛辞を送りたいです。お疲れさまでした。

あと、ガブリロさんは誰が何と言おうと英雄です。

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