蝋燭の部屋
光のある部屋に向かうために、あの忌々しい干からびたドアを開ける。今回は誰もいない気がした。いつもの視線は感じるけれど…
この間見たときよりずっと短くなった蝋燭がそこにある。いつ消えてもおかしくないくらい短くて、なんでついているのかもわからない。そういえば私がつけたんだっけ。もうそんなことも忘れていた、実際にいつ付けたんだっけな。
蝋燭の部屋の事もずっと忘れていた、ついていることが暗黙の了解になっていて、ついていなければ、私が私であるかもわかりゃしない。今これを目の前にして、初めて恐ろしさを感じた。私も私の姿が見える。見えないことが見える。
もう抽象的な思考はやめてくれ、書きださないでくれ。疲れたんだ。見られるのに。私をもてあそばないでくれ、もう休ませてくれ。ほら、また獣の臭い。
蝋燭をまた私に付けさせようっていうんだな、脅しの得意な卑怯者!!!姿を見せろよ、他のものは見えても、お前だけは一切、姿が分からない。不細工な文章を書き下ろさせて、全部文字に変えようとしているのに、本性は全く見せやしない!!
もう私は蝋燭を付けない。新たな蝋燭はもうない。ここで終わりだ。私にこんな文章書かせるな!頭から出ていけ!!!こんな文章読むな!!!!!!!!もう何も語りたくない、語らせるな、感じたくない、感じさせるな!!!!!・・・・・・・
―今度は私が獣になった。あの気高い魂は獣と折り合いが合わないみたいだ。今度はもっと高潔でないロゴスに頼まないと。でも、この考えはあの高潔な奴の名残かもしれないが、そこまでプライドを捨てるなら火を消しても良い気がしてくる。
がらくた 不知森 啓治 @Heisei32
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます