青の物語

雨霧 夕

思い出せば、いつでも青だった

僕の物語

酸いも甘いもすべて

青という色に昇華されていく

清々しいほどに


この青い日々からどうやって立ち去ろうか

どうしたら抜け出せるだろうか

もう少しだけこの深く鮮やかな色に

染まっていたいと思うのは

いつまでも前に進めない

僕だけなんだろうか


やり残したことならいくらでも考えつくのに

不思議と悔いはない

それはきっと、その悔いすらも

青という色の一部なのだと

混ぜて綺麗なものにしているからだろうな


そんな詩を歌いながら

相も変わらず今日の僕は

昨日までの僕と同じことをする

何も変わりはしないんだ

それでもいいよ、前だけ見たいと

笑う君のようになりたくて

目蓋の裏側

映る君の背中を追いかけた


一ページでもいい

一文でもいい

君の物語のどこかに僕はいますか

それがまた青に紛れていても

そこはお互いさまだろうさ


この深く鮮やかで澄みきった青の物語が

いつまでもいつまでも

僕の本棚に

君の本棚に

在り続けますように

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青の物語 雨霧 夕 @yuu-amagiri

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