「スメラギ」に傍点を振りたい気持ちです。ひと息に読み切れる短編ながら、その奥に果てしなく拡がる世界感に圧倒されます。目を閉じて想像する、空を覆うような大きな鯨の似姿をしたいきものが、ゆったりと電子の蒼穹をたゆたう姿。それにうっとりさせられます。読み応えありますよ。
説明できないものを「説明できない」として書かれているので、作中に登場する色について夢が広がります。一部の人の頭にしかない絶滅した生き物。恐竜の肌の色も、本当はわからないと言われています。滅んだ生き物の色ってそう言うものなのかもしれませんね。