空を切り取る窓

栞野ワタリ

主人公のふたりを紹介します

ユウコについて

彼女の本名は佐々木夕子といいます。

ユウコ自身は夕日の「夕」の字が入った名前を気に入っていますが、小学生の頃には同級生の男の子に「タコ」とあだ名をつけられてからかわれたこともあります。そんな時でもユウコは「タコ食べたいなあ。今度ショッピングモールに行った時はお母さんにタコ焼き買ってもらえるか頼んでみよう」などと考えていましたから、幼い頃から基本的には周りの人の言葉に繊細に傷ついたりするタイプではないようです。少し悪い言い方をすれば鈍感だとも言えるかもしれません。


現在20才の彼女はとある大学の文学部の2年生です。詳しいことはよくわかりませんが日本語や日本文学について勉強しているようです。

どこかで耳にした話ですがこの大学の文学部は影で「あそぶんがくぶ」と呼ばれているようです。他の学部と比べるとカリキュラム上授業のコマ数が少ないので、特に1、2年生のうちは勉強そっちのけで遊びまわっている学生が多いと言う話です。

ユウコは真面目な性格なので合コンやら飲み会やら遊び歩いているという事はありませんが、自由な時間がとても多いのであまりの暇さに辟易している風ではあります。

「こんなに暇ならなにかサークルに入っておけばよかった」

と常々思っていますが今さら面白そうなサークルを見つけるのも面倒なのでそこはもう諦めています。


ユウコは大学近くの学生専用マンションで一人暮らしをしています。部屋は3階の305号室。

最近隣の306号室の住人が引っ越したようです。おそらく4年生なので、大学卒業と同時にこのマンションから出て行ったのでしょう。また新年度になれば新入生が入居してくるはずです。「女の子だったら友達になって仲良くしたいなあ。お互いの部屋を行ったり来たりする仲になれたら楽しいだろうなあ」とユウコは最近妄想しています。


さて、2月中旬のある晴れた日曜日の午前中。ユウコがその日一日何も予定がないのをいいことにいつまでもぐーすか寝ている間、隣の306号室には3人の訪問者がありました。



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空を切り取る窓 栞野ワタリ @lowlander_sora

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