第4話 男魂くんと飼い主くん

次の日俺は幸汰こうたに振られたショックが思ったより大きく、一日中部屋に引きこもって寝ていた。

 

 「嶺鵞りょうが、起きなさい。りょうが!」

 「ん?」

 「ほら、嶺鵞!奏弥そうやくん来てるわよ!」

 「あぁ、そうや?」

 

 俺は奏弥と約束していたのを忘れていた。

 部屋には、すでに奏弥が来てきた。

 

 「嶺鵞!寝ぼけてないで!!母さん、おやつ持ってくるからね。起きるのよ!」

 「あぁ、わかった」

 

 「わりぃー、忘れてた。てきとーに座れよ」

 「あぁ、大丈夫。」

 

 「嶺鵞、入るわよ。」

 「あぁ」

 「じゃ、母さん。パート言ってくるわね」

 「早く行けよ」

 

 ばばぁが部屋から出ていき俺たちは話を始めた。

 

 「お前、昨日なんだったんよ!いきなり」

 「わ、悪かった。もー、忘れてくれてもいいだ」

 「無理だろ!俺は、それが原因で幸汰と別れたんだから・・・」

 「そーなのか?」

 「あぁ」

 「わりぃ、お前の彼氏がいる前であんな話を・・・でも、あれは」

 

 知ってるよ、奏弥。本心なんだろ。

 

 「あぁ、別に謝ることはねぇーよ。もともと、終わりかけてたのを幸汰が繋ぎ止めてくれただけだから。」

 「でも・・・」

 

 不安そうな顔の奏弥。

 

 「なぁ、奏弥。俺話したいことがある。」

 「えっ!?なんだよ」

 

 まず、なにを話す前にも謝らねぇと・・・なにも始まらねぇ。

 

 「あの、あんときは悪かった。いくらなんでも言い過ぎた。」

 「えっ・・・」

 

 奏弥のやつ泣きゃがった。

 

 「は?ちょ、おまっ!泣くなよ!!」

 「いや、わりぃ。」

 「ほら、ティッシュ!」

 「あっ」

 

 奏弥はティッシュを数枚とり俺に返してきた。

 少し落ち着いてから俺に話し掛けてきた。

 

 「俺、お前に謝ってもらえるなんて、夢にも思ってなかった。俺の方がお前を傷つけたのに。だから、もう話させ出来ないのかなって・・・」

 「あぁ」

 「それで俺、その寂しさ埋めるために伊織と付き合ってみたり。いろんなやつと寝たりした。けど心に穴が開いてるみたいに満たされなくて」

 

 俺も幸汰と居てもなにかが足りなかった。心にポッカリ穴が開いたみてぇに

 

 「そしたら、校内ではお前が男付き合ってるって噂が広がり初めて、最初はデマだろうなって思った。けど、嶺鵞と一緒によくいるやつがいて、それでも『仲のいい友達だろう。』そう、自分に言い聞かせてた。けど、やたら触り合ってるし・・・」

 

 そんなこと、泣きながらしゃべんじゃねぇ

 

 「おい!奏弥!もう分かった。だから、泣くなよ」

 

 そう言いながら、なぜか俺は奏弥を抱き締めていた。

 

 「俺は、確かにあんなことされていやでいやで仕方なかった。でも、嫌いになったわけじゃねぇのに、お前謝ってこねぇから俺、許すにも許せねぇーじゃん!」

 「えっ・・・」

 「なんだよ!」

 「俺、お前に許してもらえねぇーことしたのに。本当に悪かった・・・」

 「別にもう怒ってねぇからいいよ」

 「本当か!!本当、悪かった」

 

 そう言う奏弥の顔は、涙でぐしゃぐしゃになった顔に笑顔だ。

 

 「泣くか、笑うかどっちかしろよ」

 「だって・・・嶺鵞が」

 「俺がなんだよ・・・」

 「いや、なんでもねぇ」

 「それよりお前!以外に泣き虫なんだな」

 「うるせぇよ!」 

 

 以外に可愛いところあんじゃねぇか!

 俺のことで泣くとかバカだよなぁー。

 

 「あのなぁ、奏弥。俺が絶交って言った次の日、俺お前が話し掛けてくるんじゃないかって本当は期待してたんだぜ。」

 「それって」

 「いや、お前が期待してるような答えはやれねぇーけど、お前なら普通に話しかけてきてくれる。そー思ってたけど考えが甘かった。」

 「そんときは、完璧俺が悪くて。それで、えっとー、」

 「もう、いいよ。」

 「えっ・・・」

 

 もう、突き放したりしねぇからそんな顔すんじゃねぇよ。

 

 「なぁ、奏弥。俺、お前居ねぇとだめみてぇだわ。笑えるよな!高校にもなって。」

 「本当、一匹狼を気取ってるやつが・・・本当笑えるよ。でも、そんな嶺鵞が好きなんだよ。俺と付き合ってくれ!」

 

 もちろんと言いたいがはずかして言えるわけがねぇ。だから、これで答えてやるよ。

 

 俺は、奏弥にキスをした。

 

 「えっ、嶺鵞!?」

 「なんだよ。もっとしてほしいのかよ!」

 「いや、してほしいけど」

 「なんだよ!はっきりしろよ」

 「いいのかよ!俺と付き合うの!」

 「俺からキスしたんだからいいに決まってんだろ!」

 

 それから、俺たちは今までの空白を埋めるかのように、深い深いキスをした。

 

 「嶺鵞。スキ。俺の知らない嶺鵞をもっと知りたい。いい?」

 「あっ、うん。」

 

 なんで、こーいう時は、いつもより優しくなんだよ!

 

 「ローションある?」

 「机の引き出しの中にある」

 「分かった。」

 

結局幸汰とは俺の家でローション1回しか使わなかったなぁー

毎回、ホテルか幸汰の家だったもんなぁー


 「嶺鵞!今、違う男のこと考えたでしょ!俺が目の前に居るのにさ。」

 「えっ・・・」

 「可愛い嶺鵞が見たいから、お仕置きね」

 

 なんだよ、その笑み。こぇーよ

 

 「そーだ、前と後ろ一緒にいじられるの好きだったよねぇ?」

 「す、好きじゃねぇよ」

 「嘘つかないでよ。もう、こんなだし」

 

 奏弥は俺のそれに触りながら後ろにも指を入れてきた。

 

 「んっ、そ、そーや。前と後ろはだめぇー」

 「ダメじゃないじゃん。こんなになってるのに。気持ちよくない?」

 「あっ、んー、そ、そこだめぇ」

 「じゃー、そんなに嫌ならやめよっか?」

 「奏弥、いじわるすんなぁ~」

 「ごめん、ごめん!でも、気持ちでしょ?」

 「うん、気持ち・・・」

 

 こいつ、こんな手使いやがって!

 

 「照れてる、嶺鵞も可愛い」

 「うっ、せぇ~」

 

 「いっ、イッく。」

 「まって、嶺鵞!一緒にイこ?」

 

 奏弥が俺の中に入ってくる。

 

 「んっー、」

 「嶺鵞の中気持ちいよ」

 「そ、奏弥。おれ、イッ、イッく」

 「嶺鵞、俺も。」

 

 「嶺鵞、気持ち良かった。」

 「あぁ」

 

 奏弥とのそれは思った以上に気持ち良かった。

 

 「大丈夫?」

 「あぁ」


 俺たちはそのまま眠りについてしまった・・・。

 

 

 

 

 男魂くんと飼主くんとの恋が実り「男魂くんは学びたい」無事完結。

 

 「いやいや!終わらせんな!」

 「えっ・・・飼い主くん?」

 「これからの俺の苦労は?」

 「それは・・・」

 「考えてなかった・・・そんなことはねぇーよな?」

 「な、な、な、ないです。ちゃんと考えてます・・・」

 「嶺鵞のやつまた、女子にコクられてやがる。嶺鵞、心配だから俺行くは!じゃーな」

 「じゃーまた。」

 

 これかは先は飼い主くんの苦労の日が続くのである。

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男魂くんは学びたい 杏璃 @You-me

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