とあるホスピスを舞台に展開するホラーです。終末医療施設というだけでも明るい気持ちにはなれませんが、この物語のホスピスには怖い人がいます。語り手は、その怖い人。お世話をすると話しているので、語り手は看護師のようです。大抵病院もので怖い思いをするのは看護師さんですが、この作品では看護師さんが一番怖い気がします……ラスト、ゾクッとしました。
語り部口調で紡がれる物語。等価交換、価格や価値の等しい物どうしを交換することでよく使われる言葉だが、これは「呪い」でも適応される。代償は何でもいいのです。だってそれが「代価」なのであれば、それ相応のものを得ることができる。当然です、それが「等価交換」なのだから。……さて、そこのあなたは「等価交換」をしたいですか?叶えたい願いがあるのでであれば、なんでもいいのです。それが「等価交換」なのだから。
原作を知らなかったですが、丁寧に例を出して説明してくれるので、すぐに入れました。語り口がいいです。絶妙。ラストいいですね。
たんたんと、むしろかわいらしさを感じさせる語り。どこか壊れたようなところを垣間見せつつ進む。最後、残酷を楽しむような本性を垣間見た気がする。
モノローグにすることで設定の説明にかかるムダをなくしつつ臨場感を出し、不穏な雰囲気を醸し出す例をあげながら、ラストに向かって盛り上げてゆく。最後にどんでん返しの設定を説明しつつ、オチに結びつけたところはお見事でした。欲を言うと、いろいろな例を紹介するところで、描写を細かくリアルにするともっと盛り上がったような気がします。