カウンセリングを受け持つ生徒が、こんなことを言い出したら。
どのように感じているのか、生徒の発言や気持ちを否定することなく聞き役に徹する、お手本のようなカウンセラーの主人公。
そして「こんな症状だろう」と、一旦は結論づける。
読者はここで、「まあ常識的に言えばそうだよね」と納得する反面、この摩訶不思議な語り口の話がそれで終わるわけない、けど、全然分かんない……と悩みながら読み進める。
そして事件は急展開。
あっという間に主人公は「彼の言うことが本当だったのだ」と確信し、読者は「なるほどそういうことか〜!」と、額にぱちんと手を打ちたくなる。
短い文で読者を振り回す、巧みな良作でした。
お見事です!