三千世界のカンタータ

八ツ木舞

第1話 「黄金色の雨」〜開店〜

「この店を世界一にしてみせるぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!」


「うるせぇぇぇぇぇぇええええええ!!!」

目覚めのゲンコツは、朝なのに星が見える程

凄まじいものだった。


イテテと頭をさすりながら

仕事着に着替える。


階段を降りて外の水場に向かう。

桶から水を汲み

顔、手を洗い、口をすすぐ。

パシッと両頬を軽く叩き

厨房に小走りで向かった。


厨房の扉を勢いよく開き

これでもかという程の大声で叫ぶ。

「おはよぉございます!!!」


「おはよ!」

「おぁっざっーす!ボケェ!」

「オハヨウ!オハヨウ!」

「・・・うるさいなぁ。」

「はい、良い朝ですなぁ!」

「ご機嫌よう。」

「御早う。」

みんなそれぞれ返事を返してくれる。

僕に居場所をくれた最高で大切な家族だ。


「持ち場につけぇぇぇぇぇええええ!!!」

親方の一声でみんな急いで持ち場に戻る。


誰よりも早く入り口のドアを開けて

朝一番のお客さんを笑顔でお出迎えする。

これから始まる一日を最高の物にする為に。


「「「いらっしゃい!『黄金色の雨』にようこそ!」」」


これが僕の毎朝の日課。

料理亭「黄金色の雨」の最高の朝です。

















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