語りの人

作者 まきや

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★★★ Excellent!!!

 なんでこんなはなしがカクヨムにあるの!
 と、読了してすぐに感じました。この話は短編小説賞を受賞して、新聞や雑誌に載っていてもおかしくない、と感じました。読み終わって自分が手にとっているのが紙束ではなく、スマホであることがしばらく信じられませんでした。
 物語の面白さは言うまでもありませんが、文章がとても優れていて、さながらドラマを見ているかのように、場面がありありと浮かんでくるのです。
 虫に例えられる色鮮やかで生き生きとした「文字」の描写。
 痛みから変化していく日常。
 神浦が幻視する、言葉によって操られる未来。それに対して、ネタバレになるためぼかしますが、彼は自らの意思で言葉を操って抗います。
 彼の行動には賛否両論あるとは思いますが、間違いなく彼にとっての最善だったと私は感じました。
 もう一度言います。なんでこんなはなしがカクヨムにあるの!!!!!!!!

★★★ Excellent!!!

ネット小説界隈では少ない現実の仕事をベースにした物語に、素直に嬉しさを感じました。また作者の文章力が秀逸で、まるで文字の踊るさまが目に映るように感じられます。

「語る」とは何かというテーマに沿って物語は美しく構成され、過去と現在を行き来しつつも最終的には未来に向かって主人公が動き出します。それは予定調和的に計算された未来ではなく、不完全でも創造的で人間的な未来なのでしょう。

キャラクター設定、構成、文章力のどれをとっても質の高い作品に出合えたことに感謝です。

★★★ Excellent!!!

——の、一言に尽きます。

 文章力、鮮やかな場面転換、SF的アイデアの巧みな取り入れ方。秀逸なオチ。この作品のアピールポイントは挙げればきりがありませんが、どの点においても、作者の神がかり的な能力・手法がいかんなんく発揮されています。

 やや幻想的な冒頭はすぐに淀みなく原稿を、つまり『言葉』を読み上げる、テレビ局のアナウンサーの描写へ移行し、彼が『言葉』に思いを馳せるたびに、今度は幾多の彼の『思い出』が走馬灯のように去来します。

 そして、中盤で登場する『人工知能』。一見、唐突なSF的アイデアのように思えて読者は戸惑うかもしれませんが、この『人工知能』こそが、主人公と『言葉』の関係の結び直しに貢献する、物語上の重要な鍵となっていきます。

 ネタバレ防止のため抽象的な言い方になってしまいますが、アナウンサーである主人公は、ラストで一つの禁忌を侵すことになります。

 けれどそのラストを、私は不覚にも「美しい」と思ってしまいました。