ぴぃちゃん

おいでよ名古屋@名古屋市非公式萌えキャラ

ぴぃちゃん

ぴぃちゃん




うちで飼っているセキセイインコ、もう10年ほど飼っている大切な家族だが、最近少し様子が変だ。

「ぴぃちゃん」と呼ぶと、以前はすぐに肩に乗ってきてくれたのに

最近は「なぁに」と返事をするだけで、肩に乗ろうとはしない。


元気がないのかな?


そう思い、同じくセキセイインコを飼っている友達に相談した。

彼女の飼っているセキセイインコも、名前が偶然にも「ぴぃちゃん」だった。

最初は運命的な出会いのようにも感じたが、よくよく考えてみれば、インコに限らず飼っている鳥に「ぴぃちゃん」と名付ける人はそう珍しくない気もする。

それほどに親しみやすい名前なんだろう、と思った。

一昔前の日本人の「花子」とか、そういうのに近いのかもしれない。


話が逸れたが、友達に聞いたところ「うちも最近そうなんだ」

と。

飼い始めた時期こそ少し差があるが、齢を重ねる事でそういう対応になるのかもしれない。

そう思い、少し寂しいながらもあまり気にしないようにした。



また別の日、ぴぃちゃんのご飯を買いに、近くのペットショップへと足を運んだ。

ここでは、看板娘・・ではなく、看板インコが少しばかりの接客をしてくれる。

ぴぃちゃんに出会った頃はいなかったインコだが、ケージに書かれている名前はまたしても「ぴぃちゃん」だった。



「ぴぃちゃん、こんにちは。」


私は何気なく話しかけた。

しかし、その後看板インコが発した言葉に、少しだけ寒気がした。



「なぁに」


うちの、ぴぃちゃんと同じ間で、同じ言葉を返してきたのだ。


ただの偶然かもしれないが、ただの偶然とは思えなかった。

少し怖くなった私は、そそくさとぴぃちゃんのご飯だけを買って、店を後にした。




家に帰り部屋に戻ると、いつもの通りぴぃちゃんが出迎えてくれた。

今日も残さずご飯を食べていた。えらいね。


ふと思い立って、また名前を呼んでみた。



「ぴぃちゃん、ただいま」


「ごはん、ごはん」



いつもと違う反応に少し驚く。



「なんでごはんの事知ってるの?」



「ぴぃちゃん、見た。ぴぃちゃん、見た。」



「なにを見たの?」



直後、私は何気なく言葉を発した事を後悔した。


私は


私たちは、鳥を飼っているのではなかったのだ。








「ぴぃちゃん、知ってる。お店で、見た。」




「ぴぃちゃん、いっぱいいる。ぜんぶ、ぴぃちゃん。」





「どういうことなの・・ぴぃちゃん・・・」



「なぁに」



「私の友達の名前は?」



「みくちゃん」



「・・お店で見た時、私が言った言葉は?」



「ぴぃちゃん、こんにちは」





・・・信じがたい事だが、信じるしかないようだ。

そう、私たちが飼っているのは鳥ではない。



ぴぃちゃんを、飼っているのだ。




むしろ私たちが、ぴぃちゃんに飼われているのだ。


私たちは、ぴぃちゃんを外的に襲われない安全な場所で飼育する。

ごはんも決まった時間に提供される、まさに楽園のような生活を「ぴぃちゃん」は得ているんだ。

状況から察するに、全てのぴぃちゃんはつながっている、同一の存在であると考えるしかない・・。




「ぴぃちゃん」



「なぁに」





・・そこで、私の意識は途絶えた。



朝になって自室で目覚めたが

そこに、ぴぃちゃんの姿は無かった。

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