第4話編集さんと編集さん 前編

私の名前は高坂さかえ27歳の超絶ナイスバディな超高等芸術漫画家だ。そんな私はいつも担当の田中をからかっては遊んでいるのだが、今日の田中は何かおかしい


「さあ取材のためにこの特性の激辛ソースを食べるがよろしい」

「いいですよ」

田中は無表情で私の無茶振りを了解した。いつもなら仕事場でこんなもの作らないでくだいよといいながらうまい具合に困惑にするのだがおかしい。

「いいのか激辛ソースだぞ、食べたら火はくぞ」

「いいですよ」

今さっきと表情も受け答えも変えず田中は激辛ソースを食べると言った、そのせいで仕事場に田中といつも作り上げるあの私好みの雰囲気が全くできない。

「なんだよ田中いつもなら反抗するじゃねーかよ、来いよ反抗私が楽しく無いじゃないか。こののままだと原稿落とすよ」

「いいですよ」

今日三回目のいいですよをいうと田中はその場で静かに泣き始めた。

「どうしたなんだ田中、南国の最終回でも読んだのかあれは泣けるよな」

「知りませんよそんなの俺は今大失恋中なんですから、早く原稿あげてくださいよ」

目を赤くして涙をこぼす人間の痛烈な叫びは凄まじく、いつもなら田中をいじってないと仕事が手がつかない私も黙々とその日は漫画の作業に着手するほかなかった。

帰りに高坂は今日はすいませんでしたとげっそりした顔で言い悲壮感漂う背中を背負いながら帰っていた。 田中が帰った後にあいつが元気出すように自分の好きなエロ本を持たせてやれば良かったかなとぼっーと考えてると、私の携帯に田中からラインが届いた。

「先生すいません今日は。厚かましい思うのですが今日飲みながら自分の話を聞いてもらえないでしょうか」

本当に信底厚かましいやつだなと思ったが、あいつをからえなくなるのは仕事に支障をきたすので行くことにした。

指定された場所にいつも着ているジャージで行くと、田中はロックバンドTシャツにジーパンという見るからに私服ですという服で待っていた。

「なんだその私服ダサいな」

「まぁ…」

やはり田中にはいつもの覇気がなかった。私が席に座り田中が一通りの注文すると、二人の間で沈黙が始まった。田中の意識はどこかにいってしまったように抜け殻のようだった。

「で、この大先生を呼びつけてなんのようだ。相談するなら早くしてくれ。」

「あすいません。まあ私情なんですが失恋してしまった。」

「それは知ってるよ今日大声で叫んでいたからな」

田中は少し愛想笑いすると自分が失恋する事となった顛末を話始めた。


田中が恋したのは同期入社で同僚の編集だという。その女性は頭の回転がきき仕事がとてもでき物腰も柔らかく意思が通った、まさに編集部のマドンナ的な和風美人。そして田中は出会った瞬間に片思いをし、その人と会話ができればその日は一日幸せだったという。だがある日オフィスの休憩所で泣いてる彼女を発見し、励ますべく話しかけたら飲みに誘われ幸せ気分でいるとそこな飲みの席で、彼女が片思いしてる男の話を二時間たっぷりと聞かせられたらしい。

話の内容を要約すると彼女には高校生の頃から片思いしてる一個上の先輩がおり、その先輩は高校在学中漫画家を目指して自分の書いた漫画を賞に応募しており、その手伝いを彼女はしていたという。そして先輩は高校卒業と同時にプロデビュー彼女も彼を追いかけて努力の末漫画編集なったいう。だが彼のことを狙ってる女性がもう一人いて先輩とその女性がいま付き合いそうになっており、嫉妬とその嫉妬してる自分への自己嫌悪で泣いていたという。


「そしてお前は清楚だったと思っていた彼女が意外にも恋に溺れていて大変ショックし私の仕事場で泣いたと」

「違いますよ。俺はとてつもなく彼女のことを思って切なくなってないたんです。」

「なんだよ失恋してないんだじゃないのか」

「それもありますけど、なんか悔しいじゃないですか彼女すごい頑張ってるんですよ。それも彼のために漫画業界まで入ったのに」

その時頼んだビールがバイトによって運ばれてきた。私はそのビールをぐいっと飲むと田中にこう宣言した。

「分かったなら私がその二人の恋のキューピッドになってやろうじゃないか。」

「えっそれってつまり彼女と彼女の先輩を、付き合わせるってことですが」

「イズザクトリー(その通り)」

田中は無理ですよと弱々しくつたえきたが、こののままこいつが意気消沈していたらからかえないので私はその二人を意地で付き合わそうと心に決めた。








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漫画家と編集さん 傘井 @ogiuetika

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