第8話 四時婆
小学校高学年の頃、『
なんでも「四時に女子トイレに出る婆」らしい。しかし、この時点で情報はこれだけ。それでも、女子の間では「怖くて四時の間はトイレに行けない」と結構な騒ぎになった。
何をしてくるのかわかってないのに「怖い」とは失礼な!
そんなこんなな話題で盛り上がっている時、ふと思ったんですよ。
その手の類の話ってなんでいつも「女子」トイレなの?
現在だったら「トイレの花子さん」とかも女子トイレだし。
※私の時代に花子さんの話はなかったけれども。
そんな軽い疑問を友達にぶつけてみると……
「婆だって女性なんだから男子トイレは入り辛いんじゃない?」
なんだよ、君は。ただの天才か。
いや、待て待て。四時婆は『出る』んであって、『入る』わけじゃないだろう。
そんな葛藤に身悶えして数日、いつの間にか四時婆に新しい設定が出来ていた。
「四時四十四分四十四秒に出るらしい」
……
……
出現時間わずか一秒だと!? それ出てくる意味あるの!? いや、きっと四時台にトイレに行きたい女子の為の優しさ設定なんだろうけども! 一秒は苦しい。苦しすぎる。どこが怖いのかもわからないスピード感。
そして再び数日後、我が校の卒業生を姉に持つ友人が新しい情報を持ってきた。
お姉さんの話によると四時婆の仕業である怪現象はこうだった。
「四時四十四分四十四秒前に一番奥のトイレに入ったとする。勿論一秒で用を足せるわけがないので、四時四十四分四十四秒丁度をトイレの中でを過ごすことになる。そうしてトイレから出るとなぜか一番手前のトイレにいたことに気付く。」
要するに、入った個室と出た個室が違う(移動させられている)ということらしい。
これを聞いて、今までは何をされるかサッパリわからなかった女子達は大騒ぎになった。具体的に何をされるかが判明したからだ。
しかし、私はこう思った。
もう!! すでに!! 婆、関係ない話になっとる!!
しかし、奇妙なことにこの四時婆の話。ごくごく狭い範囲でしか流行ってなかった。学区が少し離れると「そんな話は聞いたことない」って言われる。
なので、四時婆の情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、お知らせ頂けると幸いに存じます。
現実なんてこんなもん ひさよし はじめ @hisayoshi_hajime
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