第7話金縛り

 これは友人の話です。

 その友人は中学以来の所謂「腐れ縁」なんですが、友人が一度だけ心霊体験をした時の体験談です。


 それは友人がまだ中学2年の頃、クラスは違ったけれど仲の良かった私達は昼休みや放課後によくおしゃべりをしていました。

 なんとなく友人が元気がないような気がして私は心配しました。


「なんか最近元気なくない?なんかあった?」

「・・・うん、信じてもらえるかわからないんだけどさ」

「信じるから言ってみるがよいぞ!」


 なんて暗い雰囲気の友人を励まそうと明るく返事をしたんです。

 友人はそこから少しずつ話始めました。


「実はさ、最近毎晩のように金縛りにあうんだよね」

「体は寝てるのに脳が起きてる状態とかじゃなくて?」


 こう聞き返してみたのは私がこのパターンによくハマってしまうからでした。

 友人は続けます。


「うん。明らかに心霊現象。だって部屋中にたくさんの人の気配がするし、いつもざわざわ声がする。ひどい時は何人かに踏みつけられるんだよ」

「・・・それは、寝られないな・・・」


 思いのほか本格的な現象に若干ビビリながらも打開策を考えようということになった。

 私が友人宅に泊まりに行こうかとも思ったけれど、妹達の食事やら洗濯、その他家事があって私が家をあけることができない。

 だからよかったらと我が家に泊まりにくるよう薦めてみた。

 しかし、友人宅もちょっと訳あり家庭で泊まりは無理とのこと。

 その日はもう放課後で帰宅している生徒が多かったこともあったので、今晩の様子次第でお寺の住職の娘に相談することにした。


 そして翌日。

 朝から相変わらず落ち込んでいる友人。


「やっぱ昨日も出た?お寺の娘に相談する?」


 心配になってそう聞いてみた。だが、友人の返事は意外なものだった。


「いや、もうたぶん出てこない。今日はちょっと自己嫌悪なんだわ」


 どういうことかと詳しく話を聞いてみた。


「昨日の夜中にまた大勢の気配がして金縛りにあったんだけどさ。いつもはハッキリ聞こえない声でざわざわ言ってるだけなのに、昨日初めてハッキリ声が聞こえたんだ」

「『あら、この子はもうダメね』って。人をバカにしたみたいな言い方でさ」

「最近睡眠不足なこともあってうっかりブチ切れちゃってさ」

「『ああん!?もう終わってるおまえらに言われたくないわ!』って飛び起きて怒鳴ってしまったんだよ」

「そしたらさー。なんかざわざわが止まってドン引きみたいな空気流れてさ。消えちゃった」


 ああ、幽霊相手に怒鳴ってしまったことに自己嫌悪なのね・・・


「で、でもさ!それで出てこなくなるんだったら結果オーライじゃん?」


 と私は励ますつもりで言ってみた。

 だが友人はその日一日落ち込んでいた。


「幽霊にドン引きされるって・・・じゃあ私はどうすればよかったんだよ」


 そうか、ドン引きされたこともショックだったんだね。

 なんだろうね。私の周りには怖い体験のはずなのにホラー映画みたいなリアクションとる人少ないのはね。

 こういうのを類友っていうのかね。

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