追憶章 薔薇母の真意編

Epilogue Babyがゴイスー

(造魔ゾーマも結局、親なのかの~)

 直通のエレベーターから降りてモニターの前に立つ薔薇母バラモ

「さて…わらわも本来の目的を果たすとするかの」

 しばらくモニターを眺め、キーボードを操作する。

「まっ…サービスというやつかの~」


『NOA』ここでは遺伝子疾患の治療など造作も無いこと。

 薔薇母バラモの目的は、ココで『しずか』を治療することである。

 造魔ゾーマが人の治療など許すはずもなく、そのためにリーフ達を、ココへ連れてきた。

 造魔ゾーマは自らが造った『リリス』に勝てない。

 数週間、リーフと行動を共にして確信していた。

 リーフの性格は素体となった『泰梅テイメイ』の闇の部分を色濃く残していた。

 それは薔薇母バラモの知る創造主であり、歪んだ欲望を抱いたまま死んだ女性の闇の分身だと思っていた。

 その黒い部分で人を学ばせる…偏ったジャッジを与えられた闇の審判。

 造られた神に造られた最初の『人』

 それは、あまりに自由で、自己中心的で、それでいて人を惹き付ける魅力に溢れた少女であった。

(造魔ゾーマ…リリスはオマエになんぞ従わない…解っていただろうに…変わった子育てじゃったの~)

「そなたと過ごした数週間、面白かったぞ…リリス、これは、その礼じゃ」


 薔薇母バラモは『しずか』の身体を治療し、そして離れた…。


「ちゃんとしたもの買ったんでしょうね?」

 港へ戻ったリーフがバッカスをジロッと睨む。

「問題ない…ヒック…酒は詰めるだけ積んだぜ…ウィック」

「お前が呑んでんじゃねぇわよ!!」

 リーフの蹴りがいい角度でバッカスのポヨンとした腹に決まる。

「ぐぬっ…」

「ったく…酒ばっかだったら承知しないわよ!!」

「にゃよ!!」

 ビシッと敬礼するミゥ。

 積荷をチェックし、出航準備に取りかかる。

「いい、ひとつ!!クラーケンには手を出さない!! ひとつ!! ハーピーを捕まえない!! ひとつ!! 人魚を寄せ付けない!! はい、復唱!!」

 リーフの号令が響き経験に基づく、いざ出航。


「狭い…」

 ヒトミがボヤくも無理はない。

 所狭しと積み込まれた荷物。

「足りないくらいよ」

 リーフもボヤく。


 なんだかんだで、航海を終え、積荷を売りさばいたバッカスチョイスの酒は意外に好評だった


「よし早速、また『チャイナ』へ行きなさい!!」

「なに?」

 バッカスの顔が青くなる酒のせいではない

「今度はアッチで見なかった物をコッチから運ぶのよ、はい軍資金」

「今からか?」

「今からよ!!」

 ビシッと海を指さすリーフ。

「海の男は陸では生きられない…この船がアナタの家よ、しっかりね死ぬ気で稼げ


 こうして『リーフ貿易』が立ち上がったのである。


 御一行も相変わらずの魔王狩りを熟し、めでたく家を建てた。

 何の疑問も抱かずに、皆、住みついて…シズカは無事に女の子を出産したのである。

「名前は『狐月コゲツ』でござる」

(結局、狐なのね…)

 ヒトミが呆れる。

(いましばらく…付きおうてやるかの…リリス)

狐月コゲツ』がニタリと笑う…。


『コレは妖狐バラモの…まぁ…よいか』


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Stressがゴイスー 桜雪 @sakurayuki

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