訳あり三つ子のタマシイ百まで!
@Ramyu
第1話レモンの香り
ある日、唯一の肉親である父親に少し話があると言われ、リビングのソファに腰掛けていると、父が来て、かしこまった顔で、
「父さんな、再婚することにしたんだ・・・いいか?」
「やっぱりか・・・流石にシングルファーザーやったら色々しんどいやろ。いつか再婚するんやろなぁて思ってた。」
「おお、意外と即決やな。おりづらくないんか?」
「相手次第やな。連れ子はおるん?」
「あ、そうそう。大事なことやけん先に言わな。実はというか、女の子がおってな・・・」
「え?まじ?可愛いん?可愛いん?」
「めっちゃ食いつくやん。興味無さそうやのに。普通に綺麗な子やで?お前に似とるわ。」
「血も繋がってないのに似とるもクソもあるかい。」
「まぁ百聞は一見にしかずて言うやろ?明日会ってみようや。」
「ええよ。じゃあ明日な。もう寝る。」
「分かった。あとお前、トチ狂って手とか出すなよ?まぁそんな度胸ないだろうけどなHAHAHA!」
「分かっとるわ。しょーもない話すな。あ、その子は何歳なん?」
「お前と同じ高校1年生や。じゃあ寝るで。」
「おけ。」
彼は部屋に戻るなり布団にくるまった。
(おおおおまじかぁ!ついに俺にも妹かぁ!よっしやぁぁぁ!これは勝ち申したわ。みんなごめんな。俺、お兄ちゃんになったわ。お兄ちゃん!って呼ばすぜぐへへ。)
彼は重度の妄想厨であり、最近のライトノベルでありがちな女兄弟が死ぬほど欲しかったのだ。
さらに、父の「まぁ、綺麗な子やで。」の発言より、期待値は高まりまくっていた。だが父の前でそんな事はいってはならない。
彼は親に反抗するお年頃。あの父の事だ。弱みを見せようもんなら、徹底的に煽って来るだろう。
だから、明日は顔色1つ変えまいと心に誓って寝入ったのだった。
朝起きると父親がもう料理を作っていた。
「おはよう。学校終わったら近くのファミレスに来てくれ。なんでも食っていいぞ?」
「ハイハイ。じゃあ後で。」
「いってきまーす。」
「はぁ、サボったろかな・・・」
彼は興奮によりあまり寝れていなかった。だから、休養も兼ねて対面式(?)に備えてサボることにした。そして死ぬように寝たのであった。
「・・・ん・・・んん、あ!」
(やば!めっちゃねとった!今なんJ・・・もう学校終わってる時間やん!はよ行かな!)
だがこれから家族となる彼女らに見苦しい格好は見せられない。
慣れない手つきでワックスを髪の毛に馴染ませ、服も昔マネキンコーデ一体分を買った服で急いで家を出たのであった。
「はぁ、はぁ、」 ガチャ。
何とか間に合ったようだ。ファミレスの端のテーブルには父親が1人で座っていた。
「よぉ。」
「あ!来たか・・・
ちょっとまて、なんでお前制服じゃないんや。まさかサボったんか?」
(あ・・・やば、そこは考えてなかった。)
「いや、まあな・・・あ、ほらもう来るし、黙って座っとこうや。」
「はぁ・・・まぁ今日だけやぞ?お洒落しとるけん許したるわ。」
「そりゃようござんした。いつもとは見違えるやろ?」
「そうやな。馬子にも衣装とはこのことやわ。」
「は?それやったら俺が馬になるでないか。俺は馬ちゃうけどお前は馬鹿やから馬やろ。」
「そりゃあアレは馬並みやけどなアッハッハッハッハッ!」
「・・・・・・あ・・・」
父親が笑い終わった所で女性の人の手が父親の方を叩く。
「あ・・・やぁ。」
「・・・・・・・・・」
(いやコイツほんまアホやわ・・・)
「ひ、久しぶり。元気にしてた?」
「おかげさまでね。あ、こんにちは颯くん。」
「あ、こんちや。」
(この人が俺の母親になる人か。まぁええな。優しそうやし。)
「ほら、静季、咲、挨拶しなさい。」
(おっ、ん・・・2人!?まてまて!おいコラ糞親父。2人や聞いてないぞ。
そういやあいつ昨日1人とも言ってなかったしはめやがったな〇ね!)
父親の方を見るとにやにやしている。
(あとでこいつ殺そ・・・
それよりも今は彼女らや。なんだかんだハーレムやし。)
しずきと言う人は明るい感じで髪の毛が肩くらいの黒髪ショートヘアーで小動物みたいで可愛かった。
さきはかなり大人しそうな感じで黒髪がよく似合っているロングヘアーで、こちらもまた可愛い。というか美人であった。
偶然かどうかは分からないが、俺、静季、咲の3人は身長が165位と同じくらいだった。というか並びたくない。彼女たちと顔面偏差値が違いすぎて恥ずかしい。
「こんにちはぁ!」静季がハキハキ言った。ちょっとうるせぇ。
「こんにちは・・・」咲がポツリと言った。
「あ、こんちゃ・・・」
父親は俺の頭をポコと叩き、
「ごめんな。こいつ緊張してて・・・やっぱり2人とも可愛いからかな!?HAHAHAw!」
「ちょ、・・・」
(お前いらんこと言うな!しばくぞ!)
父親が滑ったのち咲が母親の腰をつんつんと突いた。
「あら?どうしたの咲?
お腹すいたの?」
咲は頷いた。
(可愛い。あぁ、妹やししかも義理。)
「めっちゃお腹すいたー!」
(静季も可愛いな・・・ちょっとうるさいけど)
「じゃあ、なんか頼みましょうか。」
「父さん、なんでも食べてええんやろ?」
「おう、あたりまえよ。」
(そう言えば俺朝からなんも食ってなかったし、腹減ったな・・・)
そして皆が各々料理を注文した。
腹ぺこの彼を遥かに上回る食事量を食べる咲が食事が終わると、母親が、
「じゃあ、これからよろしくね、颯くん!」
「あ、よろしくお願いします・・・」
「けどあれねー、ほんと、3人揃うと3つ子みたいね!」
「あはは。そっすか。」
(やべえ・・・会話が続けられねぇ。
あとやっぱり3つ子になるのか。年一緒やし。)
「そろそろお開きにするか。」
(あ、そういやいつから一緒に住むん。)
「じゃあ、明後日の日曜日に引越しの荷物が届くと思うから入れて置いてね。その時にいくわ。」
母親が父親に言った。
(あぁ、明後日か。)
「あぁ、分かった。」
「じゃあ颯くん、あさってから一緒に住むからよろしく。この子達と仲良くしてあげてね。ほら、なんか言いなさいよ。」
咲が恥ずかしそうに、
「よ、よろしくお願いします。」
といった。
すると静季が近づいてきて、手をひっぱって
「ちょ・・・」
(えなになになになに!)
「いいからいいから。」
父さん達から20メートルくらい離れた所で、静季がにやにやしながらゼロ距離まで近づいて、
「咲と私どっちが好み?やっぱ咲?男子は好きそうだし?」
「え・・・それはまだ分からん。」
「そっか。けど仲良くなれそうで良かった。」
「こちらこそ・・・」
すると静季が掴んでいた手を自らの胸にもっていく。
(おっぱいおっぱいおっぱい!)
(えやばいやばいやばいやばい!)
「えへへ・・・」
感じる。静季の柔らかい胸の感触・・・
ではなくまな板を触っているような感触。
童貞の俺にはよくわからないが
まるで自分の胸を触っているようだった。
(流石に小さい・・・?Aカップでももうちょっと膨らんでるような・・・って、コイツまさか!?)
静が耳元で囁く。
「よろしくね。お、兄、ちゃん。
あと僕男だよ。」
(ビクッ、)(ボッキィ!)
静季の口はミンティアのレモンの匂いがした。
(まじかよ・・・)
そう、静季は男だったのである。
(新しい性癖が生み出されそう・・・)
ここからオトコの娘の静季、美少女の咲、あと普通の彼の3つ子生活が始まるのだった・・・。
訳あり三つ子のタマシイ百まで! @Ramyu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。訳あり三つ子のタマシイ百まで!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます