第13話 ホテル
俺は無言のまま、彼女の手を引き、ホテル街へと向かった。
Kさんを見つめる度、笑顔を返す彼女から悔しいくらいの余裕が感じられる。AVに出てるくらいだから、とても経験豊富なんだろう。上野周辺のホテルは、利用者が多く大半が入室済み。ホテルを選ぶ前や、フロントで部屋を選ぶ前に、チラリと彼女を見る。俺を見つめ返す目に自分への好意を確信して、会話らしい会話はもうしなかった。落ち着いた様子の彼女の前で、不慣れな自分をさらけ出すことにも抵抗があった。
エレベーターに乗ると、手に彼女の体温が感じられた。意図的か、偶然か。人目を気にするより、今すぐ彼女を自分のものにしたくて堪らない。ドアを開けて中に入り彼女の身体を引き寄せて直ぐキスしようとしたが、彼女はスッと顔を俺の耳元に滑らせ、唇を沿わせる。
ピチャ…、クチュ…、舌なめずりをするKさんの口鳴らしに焦らされ、為すがままになっていた。彼女の息遣いは、俺の妄想をますます掻き立てる。
「触れてしまいたくなって」
身体を舐められてはいないのに、俺の耳に全ての感覚が集まったかのような、快感。囁いた後に深い吐息がかかり、いつの間にか繋がれていたKさんの手を、強く握り返した。彼女の唇を奪おうとしていたはずが、耳から頬、今度は唇に、いつの間にか彼女に唇を奪われた。舌を絡めようとすると、彼女に吸いつかれた。が、エロく、大袈裟な音と共に、唇が離れた。
「私たち、相性が良いみたいですね」
お楽しみはこれから、と言わんばかりの艶っぽい目と、離さない手に温かさを感じて、ソファに腰掛けると取り留めのない会話に戻った。
・・・シャワー浴びてきます。
「一緒に入ります?」
ドキッとした俺に、飽きられちゃうからまだ見せてあげない、と彼女はイタズラっぽく笑い、身体を擦り寄せ手を取り、人指し指を唇に挟み、口に含めた。上目遣いに見つめてくる。もちろん俺は、俺を咥える彼女を想像した。彼女の所作はとてもゆっくりで、現実と妄想の間がたまらない。
「先に良いですか?」
・・・待ってます。
ありがとう、と言って、彼女はバスルームに入って行った。当然、元気が漲る俺は興奮覚めやらず、音楽を聴くことにした。
前回、ラブホテルに行ったのは池袋だったと思うが、金だけでやってる感じがすごい、若すぎる女が面倒になって、出すだけ出したらすぐホテルを出て、ビックカメラで買い物をして帰った。その日はホテル90分コース、ビックカメラ120分コース、俺の愛にはかなりの差がある。湯島のホテルは自宅から近いこともあって、行くことは少ないけど、坂道にあるこのホテルはキレイで設備も充実している。
これからKさんを堪能出来るかと思うと、どのように脱がせ、どのように味わうか、想像してみる。彼女の引き締まった腰とボリュームのある尻が俺の上に乗って動き、身体を返して、美しい脚を掴んで挿入する。ゴムの位置、ヨシ。俺の立ち、ヨシ。勃ちはもちろん、観るだけのKさんタイムより、今日ははるかに硬くて大きい。
特殊AV好きな俺の、本当にあった話。 Kei @wwwkeiwww
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