この作者、読者の琴線に触れるように、微妙にアングルをずらした視点から斬り込むのが巧い。読了後に何だか居心地の悪さを感じるのだが、それが一種の魅力と言える。適切な表現ではないが、キモ可愛いみたいな、プラス要素とマイナス要素が絡み合って、相殺した後に若干のマイナスが残る、みたいな作風。別作「自給3万円」も、そんな感じ。この作風での大量生産は無理だろう。高い確率で、作者は計算して執筆している。大量生産が可能ならば、作者は生粋の変人に違いない。
作者さんのキャッチコピーが「正しさと狂気」ですがまったくもってその通りで、社会的に正しいことを追求し続けると最終的にはこうなるよな……と感じました。それにしてもどっちの思考と行動もそれぞれ別の意味で怖くて怯えながら読んでいました。お手紙読んで先生は次にどんな要求を口にするのか。気になるような、怖いような。