マリンと海

勝利だギューちゃん

第1話

ベット脇のテーブルに、ぬいぐるみが置いてある。

既成にキャラではない。

僕の、オリジナルのぬいぐるみ。


特注して作ってもらった。

「果報は寝た待て」というが、果報は待ってても来ない。

来ないのなら、自分でたぐりよせるしかない。


そうして、ようやく作ってもらった。

10個ほど作ってもらい、いくつかは知りあいに配った。


残ったうちの、ひとつをテーブルの上に置いている。


寝る前に、「お休み」と、

起きてから、「お早う」と、声をかける。


高校生の男子がするべきではないが、自分の子供も同じ。

つい嬉しくなる。


そして、今日もぬいぐるみの頭を撫でて、床に就く。

できれば、夢の中で遊べますように・・・


ぬいぐるみの、キャラクターの名前は、イルカのマリン・・・


気がつくと、僕は海にいた。

船の上にいる・・・


辺りを見渡すが、誰もいない・・・


「パパ」

声がする。どこだ?

「ここだよ、パパ。下を見て」

下には海がある。


広い海が・・・


そこには、見知った子がいた。

「マリン?マリンなのか?」

「そうだよ。パパ」

夢だな・・・まるで・・・


「うん、夢だよ」

「えっ?」

「ここは、パパの夢の中」

「夢の中?」

「願ったよね?『マリンと遊びたい』って・・・」

「うん」

「だから、こうしてやってきたんだよ」

夢か・・・何でもありだな・・・


「でも、どうして海?」

「知ってて訊いてない?イルカだよ、わたし」

マリンは、僕の手を引っ張る。


「さあ、泳ごう。わたしとふたりで」

「でも、僕は泳げない」

「そんなの知ってるよ。でも、ここはパパの夢、パパの自由になるんだよ」


せっかくなので、楽しもう。

僕は、マリンとふたりで、海を泳いだ。


さすが、夢だ・・・何でもありだ・・・


「パパ、また遊ぼうね」


気がついたら、僕はベットで寝ていた。

「やはり、夢だったか・・・でも、いい夢だったな」


僕はマリンの頭を撫でる。

「ありがとう」と・・・


でも、不思議だった。

マリンの体は濡れていた・・・

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マリンと海 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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