思考標本
閃きは今をかすめて
一瞬のうちにそこには何もない
波の通った跡だけを わたしと呼ぶなら
目の前の身体は透明無実だ
微かな電磁波に向かって
言葉を刺すけれど
俊敏なそれを縫い止めることはできなくて
空を留めたピンの列が何かの輪郭をなぞっている
だけ
街まで続く電信柱、もしくは墓標
ドーナツの穴、もしくは納骨堂の誰か
どれほど繰り返し
どれだけ間違ってきた
アクリル板に無数の引っかき傷と
外骨格を掴む指が滑る
足を6本、いや、4本
あなたの言葉にするなら、2本
唸りもなく 温度もなく
セロファンの色が優しかった
そんなに静かでどうしたの?
標本箱の中のオオムラサキに尋ねてみたけど
返事はなかった
私の言葉 槇灯 @makitou_fuko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私の言葉の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます