破損したファイルです

忘れられた .txtがあった

_ヒト を Ctrl+「C」


平凡な僕たちの中の 凡庸であった言葉が

綺麗に ならされていく過程は

親切に決められた フォーマットに沿っていて

定型になれた僕たちは &した


胸を衝くことがあった

1行の文字数が決まっているから 必死に言葉を探している

行き着くリズムは 巡り巡って 

落ちた先

貼り付けオプション、書式を統合

一番分かってもらえる言葉


人に受け取ってもらえない

言葉を持っている

僕は


胸を蹴る心臓が 世界まで殴ってしまわないように

持っていた国語辞書で押しつぶした

留められた心は 誰を傷つけることもなく

いつか忘れ去られていく


胸を衝いたこと 

殴りたかった 世界のこと 現実のこと 見知らぬ誰かのこと

大事にしてみたかったもの

僕が僕であるために 

僕が

〈僕〉になるために


正しい言葉で Ctrl+「S」した .txt



数秒で書き換わる僕の 僕

何度もダウンロードして 何度も上書きしてしまった後に

〈僕〉は電源を落とした


けれど 削除することすら忘れ去られていた 

データ


復元完了まで あと _秒

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