第3話 俺がこの村の王じゃ!!
「ギェェェェェェェェェェェェェェ」
遼晟は死を覚悟した。石の槍で突かれては、流石に持たない。
「グハッ」
……………………ん?
「あれ?何も痛くない。傷もない。」
突いた本人も戸惑っている。石の槍が通らないなんて初めての経験なんだろう。
「あっ、そういえば!」
遼晟は着ていた服をめくりあげた。
「やっぱり!」
遼晟の背中と腹部には、しっかりと防刃チョッキが装備されていた。念のため装備してあったのが功を奏した。
相手はこの奇襲に失敗したからか、戦意を完全に失ってしまった。今がチャンスだ。今、話をすれば和解出来るはずだ。ただ、言葉は全く通じない。遼晟は、何とかジェスチャーを繰り返し、敵意は全くないことをアピールした。相手も分かってくれたのか、村の中に入れてくれた。村の中を一通り歩き、村人に挨拶を交わしたところで、村の広場のような所にテントを広げ、生活の準備をした。
遼晟は、テントの中で歴史の教科書をひろげた。
「えっと…弥生時代、弥生時代っと。あっ、あった!なになに…弥生時代は米作が始まった?」
下調べで、卑弥呼は九州地方にいた説が有力らしい。現在の位置を知りたい。こんなときはgoogle先生だ。
「ok google 現在の位置を教えて。」
「ゲンザイノ イチハ キュウシュウ ヨシノガリチホウデス」
これはラッキーだ。九州地方の有名な遺跡のある地方に出れたようだ。となると、邪馬台国にもすぐに行けるだろう。
まあとりあえず、今日は日も落ちてきたし、疲れたし、寝よう。
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「ふぁぁぁぁ~んっぅぅぅ~」
良く寝た。今は何時だろうか、遼晟はスマホに手を伸ばす。11時48分だそうだ。
目を開けると、目の前には村人たちが8人ほど座っている。
「うわっぉぉぉぉ!」
「#%&¥¿¡¥$’^§₩€№¾½„~¼³×¿#!%?!」
何を言ってるのか全く分からない。こんなときはやっぱりgoogle先生だ。
「スミマセン ヨクワカリマセン」
「……」
まあ予想は出来ていたが。実際に言われると悲しい。どうしようか。
すると、一人の若い男性の村人が、空を指差して指をしたに垂らし、上下に動かしている。
「あぁ~そう言うことね!分かった。」
「ok google 今日の天気を教えて。」
「ゴゼンチュウハ ハレ ゴゴカラハ クモリデス」
遼晟は太陽の絵を描き、斜線を引いて雨雲の絵を描いた。すると村人たちはテントから出ていき、喜んだような素振りを見せて帰っていった。
そして午後、午前中は晴れていたが、雨が降り始めた。google通りだ。村人たちは、遼晟を凄い能力を持った占い師だと思ったのか、遼晟の元に駆け寄り、拝み、豪華な食べ物を持ってきてくれた。
「俺がこの村の王じゃ!!」
教科書ジャック @kiimann
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