第4話 悪魔の取引
ある男「ちっきしょー!10万すっちまった!2-4が来てたらぼろ儲けだったのに、あのクソ馬め!!」
ある男「あーあ、金ねぇなぁ。どうすっかなぁ。」
黒い者「そこのダンナ。」
ある男「ん?そりゃ俺のことか?」
黒い者「そうですぜ。見たところお金に困ってるようですね?」
ある男「ん?まぁな。生活費もすっちまったしこれ以上借金できないぐらい借りてるからどうしようかとは思ってらぁ。」
黒い者「なるほど。」
ある男「なんだ?あんたが用立てしてくれんのかい?」
黒い者「まぁあなたがその気ならばね。」
ある男「ん?その気ってなんだ?」
黒い者「実は私は悪魔なのですよ。そしてあなたとある取引をしたくて参上しました。」
ある男「??悪魔だぁ?はっ、そんなやついるわけねぇだろうが。」
黒い者「信じないならそれでもいいですが話も聞かずなのはとてもナンセンスですね。」
ある男「はん!じゃぁ話してみろや!」
黒い者「ではお言葉に甘えて。単刀直入に言いますと私は悪魔なので人間の寿命がほしいのですよ。そしてあなたはお金がほしい。ですので私があたなの寿命を買って差し上げようと思いましてね。」
ある男「??なんだその話は?そんなん信じるわけねぇだろ!」
黒い者「ほんとですよ、寿命1年を100万で買いましょう。ほらここに現金はあります。」
鞄の中にはざっと1000万はあるようだ。
ある男「うぉ!現ナマじゃねぇか!」
ある男「(…どっちにしろ明日どうなるか分からない身だしいっちょ話に乗ってみっか?)」
ある男「…よし、話に乗った!」
黒い者「くくく、では取引をしましょう。いくらにしますか?」
ある男「じゃぁとりあえず3年だ!300万!」
黒い者「よろしい、ではこちらを。」
ある男「よっしゃ!」
黒い者「受け取った時点で取引成立となりますのであなたの寿命を3年きただきました。」
ある男「ふーん。なんともねぇな。」
黒い者「ではまたご入り用の時に。」
そして黒い者は去っていった。
ある男「よっしゃ!現ナマで300万!今なら最終レース間に合うぜ!」
そして男は2日でその300万を使い切った。
ある男「あーあ、あいついねーなかぁ。」
黒い者「お呼びですか?」
ある男「おお!探してたぜ!もう300万用立てしてくれ!」
黒い者「いいですよ、ではまた3年の寿命をいただきます。」
ある男「おう!」
2日後。
ある男「おい!また用立てしてくれ!」
黒い者「はい、300万です。」
ある男「おう!」
2日後。
黒い者「はい、300万です。」
ある男「おう!」
2日後。
ある男「おい、また300万くれ!」
黒い者「…実はですね、もうあなたとは取引できないのですよ。」
ある男「はっ?なんでだよ!寿命との交換だろ!」
黒い者「はい、ですからあなたとの取引はできません。とは言えあと10万ほどは取引はできすがね。」
ある男「へ?え?…それってもしかして俺の寿命があと少しってことか?」
黒い者「はい、そうですね。実はうすうす気付いてるんじゃないですか?ご自分でも。」
ある男「(そ、そうだ。最近体の調子が悪いとは思ってた。胃のあたりが非常に痛いし手足が痺れ気味だ。)」
黒い者「そういうことです。あなたはあとは1ヶ月ほどで死にますよ。」
ある男「な、なんだと…。」
黒い者「残念ですねぇ。負け続けた挙句もうすぐ死ぬなんて、くくく。こう言ってはなんですが無様ですね。」
ある男「く、くそ!このまま死にたくねぇ!」
黒い者「そう言われましても取引ですから。というわけで私は失礼します。」
ある男「ちょ、ちょっと!」
男が引き止めるのも聞かず黒い者は去っていった。
ある男「くそ!どうすりゃいいんだ!こんなの嫌だ!もっと生きていたい!もっと!」
何日か過ぎていく中で体の不調は続きながらも彼は思考していた。
ある男「ん?そ、そうだ。寿命をお金に変えれるなら寿命をお金で買うこともできるんじゃねぇか?」
ある男「おい!黒いやつ!出て来い!」
黒い者「はい、お呼びでしょうか?はて、だいぶ顔色が悪いですね、くくく。」
ある男「あぁ、調子は悪くなる一方だ。」
黒い者「そうでしょうね、くくく。…ですが今日はこれから用事があるので明日春日公園に来てください。」
そして次の日の公園。広い公園なので人はまばらだった。
ある男「ちょっと聞きたいことがある。」
黒い者「なんでしょう?」
ある男「寿命を売ることができるなら買うこともできるんじゃねぇか?」
黒い者「なるほど。ですがそれは無理です。私が欲しいのは人間の寿命であってお金なんててんで無意味ですね。」
ある男「く、くそ!なんてこった!ならもう死ぬのを待つだけなのかよ!」
黒い者「…もう一度言いますが私が欲しいのは人間の寿命です。」
ある男「そりゃわかってるよ!けど俺にはもうそれがないんだ!」
黒い者「だから私は何も"あなたの"とは言ってませんよ。"人間"のと言ったまでです。」
ある男「?そ、それはどういう事だ?」
黒い者「くくく。他人の寿命を奪ってしまえばいいんじゃないですか?」
ある男「他人のを…奪う?」
黒い者「ええ。例えばあのちょっと遠くにいる男性が見えますか?特別に教えますがあの方は現在34歳でそして彼は96歳まで生きます。」
ある男「…。」
黒い者「その彼の命をあなたが奪うんですよ。」
ある男「そ、それは…あいつを殺すってことか?」
黒い者「ご名答!どうせあなたはあと少しの命だ。なら彼の寿命を奪ってしまえばいい!彼を殺せば私が寿命をいただきますがあなたのお陰ですからいくらでも分けてあげますよ!」
ある男「…。」
黒い者「62年の寿命を全てあなたにあげてもいい!そして30年売ったらあと32年生きれてしかも3000万が手に入るんですよ!最高じゃないですか!それでまた勝負したらいいじゃないですか!」
ある男「…。」
ある男「(そ、そうだ。何もしなくてももう少しで死んじまうだけならいっそ。あの男とは何の因果関係もないし、きちんと痕跡の残らないやり方でやったらなんとかなる!)」
黒い者「で、どうしますか?」
ある男「よ、よし、やろう!」
黒い者「くくく、では取引をしましょう。彼を殺せば取引成立です。」
そしてある男はその男性を殺した。
しかしその後いくら探しても呼んでも黒い者は現れなかった。
そして痕跡を残さずにやったはずだが完璧ではなく難なく警察に捕まったのだった。
刑事A「先輩。あいつ証言がほんと変なんですよ。なんか悪魔との取引がとうとか。」
刑事B「あ?なんだそりゃ?博打に負けすぎてイカれてんのか?」
刑事A「ですね。あと調子悪そうだったので医者に見せたら…」
刑事B「どうだった?」
刑事A「ただの胃炎とお酒の飲み過ぎで手が痺れてたみたいですよ。」
刑事B「はん!ああいうやつほど長生きすんだよ、ったく。」
ある男「あ、あ、あ、悪魔との取引なんだよ。悪魔との…。」
プルルルル。プルルルル。ガチャ。
黒い者「もしもしご主人様。はい。ご依頼通り例の政治家は始末しました。ええ、足は付かないやり方なので安心してください。はい。では失礼いたします。」
今宵の奇妙な物語 F少年 @Tamanegi-boy
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