第3話 犬同士の会話

周りに何者もいない草原。そこにオスとメスの犬が1匹づついる。

オスの方は怪我をしており瀕死のようだ。


オス「うぐっ。」


メス「しっかりして!」


オス「はぁはぁ。お、俺はもうそんなに長く

ないようだ。」


メス「そ、そんな。。」


オス「し、しかし本当にお前と話すことがで

きるようになったようだな。」


メス「あなたは、あなたは聖戦に勝ったの

よ!だから願い事を一つ叶えることが

できた!」


オス「そ、そうだ。だから俺は人間から犬に

なることを望んだ。しかし聖戦の戦い

がここまでハードだったとは…。」


メス「私のために…。」


オス「俺のためにだ。俺はほんとに自己中な

やつだ。」


メス「そういう事を言う人よ、あなたは。」


オス「ふふ、どうかな。」


メス「一つ聞きたい事があるの。」


オス「なんだい?答えれる内に答えよう。」


メス「なぜあなたは犬になる事を望んだの?

私と話せるようになりたいなら私を人

間にしてもよかったのに。」


オス「それは…」




オス「それはお前を…」







オス「食い殺しても罪にならないから

だ!!」


メス「きゃー!!!」


オス「びっくりしたかい?」


メス「もう!びっくりしたわ!」


オス「ははっ。まぁあれだ、君のイメージを

壊したくなかったってやつだ。人間の

世界は良い意味でも悪い意味でも人を

変えてしまうからな。」


メス「そうなのね…。これは真面目な答えで

よかったわ。」


オス「あぁ、そうだよ。俺は肝心な事はいつ

だって冗談を言わない。」


メス「そうなのね。」


オス「ううっ。」


メス「大丈夫?」


オス「どうやらもうお別れのようだ。」


メス「そ、そんな。」


オス「お、俺は聖戦に勝てて本当によかっ

た。」


メス「ううっ、さようなら。。。」


オス「…」


メス「うううっ…」


オス「…」


メス「…」


オス「…」


メス「はっ!やっと逝きやがった。この役立

たずが!!やっと私が人間になれるチ

ャンスだと思ったのに、なんでお前が

犬になんだよ!!せっかく前のペット

を殺して新しいペットになって聖戦の

戦いに参戦するよう仕向けたってのに

よ!孤独な奴だからペットを人のよう

に溺愛するキモいやつだけど強さだけ

はあったのに、最後の最後でほんとク

ソだな!」


メス「あーあ、また良い人材を探す事にすっ

かなぁ。んっとに。」





メス「?」



メス「あれ?血が出てる?」




メス「あれ?首が痛い?」





見てみるとオスがメスの首に噛み付いてもぎ取っていた。




オス「言っただろ。俺は“肝心な事は冗談なん

か言わない”。」

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