終わらないエンディング
「あらシャラクさんいらっしゃい!
何か買っていかない?」
「うん、そうだな。
じゃあまたたび汁をありったけくれるかな?」
シャラクさんは、おかしな店でよく物を買うようになった。遣い道は判らないけど、其れをもって西に向かう事が多いらしい。
え、何を買っているかって?
鍋に入れたら美味いものらしいけど、おすすめはしないかなぁ。
マタオは家族の他に大事な物が出来たらしい、最近は特に老人を多く集めて北に向かう姿が目立つなぁ、何してるんだろう?
セイラはすっかり町人になり、勢いで始めた飯屋が大繁盛、正真正銘の店主になった。理由は教えてくれないけど、南には絶対に近付かない。
チョウジョウは東に道場を立てた。其処で喧嘩の仕方を教えている様だ。偶に自宅の玄関を寂しそうに見つめている。
シュノボウは空の案内人となり、日夜天を飛び回っている。
あれから麒麟の姿をは余り見ないけど、僕等を何処かで見守っている、チョウジョウがそう云っていた。
かくいう僕、セイメイは未だ己の事は判らない。何で町の影響を受けないのか、釈迦様がどうして痛く気に入っていたのか、いくら考えても判らないけだ、いつか解明する。判るその日が来る日まで、この仮初めの天国で、色々なものを見て廻ろうと決意して、この町の案内人になった。
僕は生きていない、だけど死んでもいない。だから、理由が見つかる刻が来るまで意味の無い間違いを続ける事にした。僕と同じく間違えた人が入れば僕はせめてもの礼儀でその人に云うだろう。
‥お、今日も間違えた人が来たみたいだ。
「おめでとう御座います!
貴方は素晴らしき、この町の住人となりました!」
アナザー冥土〜異なるあの世〜 アリエッティ @56513
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます